松坂大輔が14年ぶりに復帰
昨シーズン、パ・リーグ2連覇をはたした西武だが、クライマックス・シリーズでソフトバンクに敗れ日本シリーズには進出できなかった。今シーズンはパ・リーグ3連覇、そして日本シリーズへの進出を目指すことになる。
獲得に乗り出した福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)を迎え入れることはできなかったが、新戦力として外国人選手を3名獲得した。リード・ギャレット、ショーン・ノリンの2投手と、内・外野を守ることのできるコーリー・スパンジェンバーグである。
ノリンは左の先発、ギャレットは中継ぎとして起用される予定となっている。昨シーズンは投手陣で苦しんだが、新外国人投手だったザック・ニールが孤軍奮闘しチームを救った。勝負の世界に「たられば」は禁物だが、ニール不在であれば、逆転優勝は難しかったにちがいない。このように外国人投手の出来はチームの順位を大きく左右する。また松坂大輔が14年ぶりに復帰した。戦力としてだけでなく、若手への手本としての役割も期待される。
野手のスパンジェンバーグは大砲タイプではなく、どちらかというと巧打型。内・外野ともに、守ることのできるオールラウンダーでもある。守備位置は、主力選手の状況に応じて変化することになりそうだ。
また阪神を戦力外となった森越祐人も獲得した。昨シーズンは一軍での出場機会がなかったが、内野の複数ポジションを守ることのできる選手である。レギュラーは難しくとも、ベンチ要員として重宝されそうだ。
このオフシーズンに秋山翔吾が海外FA権を行使し、シンシナティ・レッズへと移籍。この穴を補強で直接埋めることはできていない。しかし、チームのウィークポイントだった投手と流動的に複数のポジションを守ることのできる選手を獲得したのは、プラスとなるはずだ。
中村剛也不在時の三塁争い
1月の自主トレ期間中に中村剛也が負傷し、春季キャンプはB班スタートとなった。辻発彦監督も「中村がダメならやばい」とコメントしており、その状態は注目されている。中村は実績のあるベテラン選手だけに「無理することなく開幕までに間に合ってくれれば」というのが辻監督の本音だろう。
もちろん中村が開幕に間に合うのがベストではある。しかし、チームとしては最悪の事態を想定せねばならず、キャンプ序盤に行われる紅白戦や対外試合でポスト中村を探すことになる。ここでいう「ポスト中村」は「4番打者」ではなく、「三塁のポジション」としてだ。昨シーズンの打点王である中村の穴埋めを、昨季控えだった選手に求めることはさすがにむずかしい。
チームとしてはピンチだが、佐藤龍世や山野辺翔といった若手選手にとっては大きなチャンスでもある。もちろん、新外国人選手のスパンジェンバーグが起用される可能性もあるだろう。阪神から移籍してきた森越祐人も、昨シーズンは二軍で27試合も三塁を守っていた。その他には二軍で三塁を守っている西川愛也や山田遥楓もいる。
若手選手たちが春季キャンプで結果を出すことができれば、一軍定着への道も開けるはずだ。
秋山翔吾の退団で空いた外野の「1枠」
不動の中堅手だった秋山がレッズへと移籍した。5年連続でフルイニング出場をしていたこともあり、一軍で中堅の守備についた経験がある選手はほぼいない。秋山が抜けた中堅には金子侑司が起用される予定だ。すでに辻監督も明言しており、本人も意欲を見せている。そうなると金子が守っていた左翼のポジションが空くことになるが、ここは争奪戦となりそうだ。
その候補は多数おり、若手では高卒4年目の鈴木将平と5年目の愛斗、アジアウインターリーグで最優秀打者賞を受賞した川越誠司もいる。内野との絡みはあるが、スパンジェンバーグも候補のひとりだろう。ベテランの栗山巧も昨シーズンは左翼で17試合に出場した。若手らが結果を出せなければ、栗山が守備につくことも当然ありえる。
西武はFAやポスティングなどで、これまでに多くの流出があった。しかし、その後に後継者となる選手を育ててきた歴史がある。今回も新たなスター候補生が誕生するのだろうか。
2020年プロ野球・埼玉西武ライオンズ記事まとめ