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ヤクルトの先発ローテーション、外野手の空きを埋めるのは誰だ?【12球団キャンプ注目ポイント】

2020 1/28 11:00勝田聡
東京ヤクルトスワローズの塩見泰隆選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

バレンティン退団も3人の外国人選手を補強

昨シーズンのヤクルトは5位の中日から9ゲームも離された最下位に沈んでしまった。チームを率いていた小川淳司監督、宮本慎也ヘッドコーチがそろって辞任。新たに高津臣吾氏が二軍監督から昇格し、新しい体制で2020年をスタートさせる。

戦力面では、ウラディミール・バレンティンがソフトバンクへと移籍。チームを長らく支えてきた主砲がチームを去った。新外国人野手としてアルシデス・エスコバーを補強しているものの、大砲タイプではなくむしろ守備型の選手である。長打力は既存の選手の底上げで補うしかない。

また、チーム防御率がリーグ最下位の4.78と昨季苦しんだ投手陣からはデービッド・ブキャナン、デーブ・ハフのふたりが退団。新外国人選手としてマット・クックとガブリエル・イノーアの2投手が加わった。大物外国人選手というわけではないが、ともに先発ローテーション入りが期待されている。すでにクックは1月20日に12球団の新外国人選手として最速の来日。「どんな国か勉強したい」と日本で活躍するために日本を知ろうとする心構えをみせたのは心強い。

国内FA権を行使した福田秀平(ソフトバンク→ロッテ)や美馬学(楽天→ロッテ)の獲得はできなかったものの、外国人選手で最低限の補強は行った。かれらが期待通りの働きを見せてくれることが、上位浮上への最低条件となる。

新人が先発ローテーション入りを目指す

高津新監督は就任してから、「投手陣が課題」と多くコメントしている。 ドラフト会議では1位こそ高校生の奥川恭伸を指名したが、2位から4位までの吉田大喜、杉山晃基、大西広樹は全員大学生の即戦力候補となる投手だった。

もちろん、全員が一軍で即戦力として活躍できる保証はどこにもないが、すでに3人とも新人合同自主トレからブルペンに入っており、順調にきている。期待値は高く、春季キャンプ、オープン戦のアピールによっては先発ローテーションに入ってもおかしくはない。

現時点での先発ローテーション候補には石川雅規小川泰弘高橋奎二原樹理アルバート・スアレス、新外国人のクック、イノーアと名前が次々とあがってくる。しかし、石川はすでに40歳。小川は昨シーズン不調に苦しみ、高橋は1年間を通じてローテーションを守ったことがない。原は故障明けであり、実戦復帰がいつになるのか定かではない。外国人選手を見てもスアレスは故障が多く、クックとイノーアも未知数だ。

つまり計算できる投手がいないのである。新人たちが入り込む余地は十分にあり、複数人が開幕ローテーション入りとなる可能性も秘めている。

世代交代をかけた外野手争い

このオフシーズンに退団したバレンティンの穴をどのように埋めるかは、チームの今後を大きく左右する。昨シーズンの外野陣を振り返ってみると、左翼・バレンティン(104試合)、中堅・青木宣親(111試合)、右翼・雄平(107試合)が、それぞれのポジションにおいてのスタメン最多出場だった。

2019年ヤクルト主な外野手のスタメン起用回数ⒸSPAIA

それに続いて出場機会を得ていた山崎晃大朗中山翔太塩見泰隆らが、バレンティンの後釜としてレギュラー候補となるだろう。その他には昨シーズンは骨折による離脱などで22試合の出場にとどまった坂口智隆の起用もあり得る。2018年シーズンは一塁での起用がメインだったが、もともとは外野が本職。一塁に村上宗隆が起用されるとなれば、坂口は外野争いに加わってくるはずだ。

ここで問題になってくるのが年齢である。青木や雄平、坂口といった35歳を超えるベテランたちに衰えがなければ、レギュラーとなっても不思議な話ではない。とはいえ、チームの世代交代を考えると、少しずつでも若返りを図りたいところ。山崎、中山、塩見といった選手たちがポジションを奪い取るのが長期的に見ると喜ばしい。その他にも渡邉大樹濱田太貴といった若手が控えている。

世代交代をかけた外野手争いが春季キャンプで幕を開ける。

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