ドラフト1位・2位で大学生の即戦力候補を獲得
昨シーズンの広島は、球団史上初となる4連覇を目指したものの優勝を逃し4位に沈んだ。その責任を取る形で緒方孝市監督が辞任し、佐々岡真司監督があらたに就任している。
このオフシーズン、国内FA権を取得した野村祐輔、會澤翼、菊池涼介と主力3人の去就が注目されていたがいずれも残留した。シーズン途中に禁止薬物の陽性反応で出場停止処分を受けたサビエル・バティスタの動向はわからないが、それ以外に大きな流出はなかったのは佐々岡監督にとっても大きいだろう。
新戦力としてはDJ・ジョンソン、テイラー・スコットの投手ふたり、そして野手ではホセ・ピレラと3人の外国人選手を獲得。また、ドラフト会議では上位で即戦力候補となりうる選手を指名した。1位で世代No1右腕とも称される森下暢仁、2位で三拍子揃った外野手の宇草孔基を獲得したのである。
日本を代表する選手となった鈴木誠也を中心とし、菊池涼介や復活を期する田中広輔、成長著しい小園海斗らで脇を固め、新戦力を融合させることで2年ぶりのリーグ優勝を目指すことになる。
遊撃は田中広輔と小園海斗の一騎打ち?
広島で注目したいのは内野手のポジション争いだ。現時点で確定なのは二塁の菊池涼介ひとりしかいない。一塁はバティスタの去就次第となるが、再契約をしない場合は松山竜平が筆頭候補となる。
一番の注目ポイントとなりそうな遊撃は田中広輔と小園海斗の一騎打ちの様相だ。昨シーズンは開幕から田中が極度の不振に陥り、シーズン半ばから小園がレギュラーの座を奪った。しかし、田中は不安のあった膝の手術を行い万全の状態に戻りつつある。すでに制限なく練習を再開しているというのも安心材料だろう。
一方の小園は昨シーズン、高卒新人ながら58試合に出場。4本塁打は球団の高卒新人記録でもあった。菊池涼の去就がわからなかったこともあり、秋季キャンプでは二塁の練習も行ったが、やはり本職は遊撃だ。春季キャンプでは田中に挑戦することとなる。
三塁は安部友裕に堂林翔太、そして新外国人のピレラが争うことになりそうだ。また、遊撃のポジション争いに敗れた一方を三塁で起用する可能性も否定できない。
とくに田中は「タナ・キク」の復活をモチベーションにしているが、今年で31歳になる。まだまだ老け込む年齢でないのは確かだが、遊撃手としてここから何年もプレーするのは現実的ではない。であれば、若い小園に目処が立ち次第ではあるが、三塁など遊撃に比べると負担の少ないポジションへコンバートすることもありうるだろう。佐々岡監督の判断に注目したい。
ドラ1・森下暢仁に山口翔と遠藤淳志のローテ争い
先発ローテーション争いも熾烈だ。エースの大瀬良大地に実績のあるクリス・ジョンソン、野村祐輔がつづき、床田寛樹が4番手。確実と呼べるのはここまで。そのあとを九里亜蓮、アドゥワ誠、ドラフト1位の森下暢仁が追いかけるかたちだ。さらには山口翔、遠藤淳志といった若手投手陣にもチャンスはある。
なかでも遠藤と山口は期待が大きい。遠藤は高卒2年目だった昨年、中継ぎとして34試合に登板し防御率3.16と安定した投球を見せた。山口も初先発で初勝利を挙げ、その後は一時的にローテーション入りをはたした有望株だ。佐々岡監督はこのふたりに関して「遠藤と山口には先発ローテーションに入ってほしい。競争に入ってくれたら刺激になる」と名前を挙げて奮起を促している。
残り2枠の先発ローテーションだが、現時点では九里が一歩リードしていると見ていい。しかし、若い投手たちには大きな伸びしろがあり、急成長を遂げる可能性も大いにあるだろう。ドラ1の森下含め、春季キャンプから先発ローテーション争いは激しくなりそうだ。
2020年プロ野球・広島東洋カープ記事まとめ