FA選手の獲得はないものの、パーラら外国人選手を補強
巨人は昨シーズン、2014年以来5年ぶりにセ・リーグを制覇したものの、日本シリーズでソフトバンクに4連敗を喫し日本一奪還とはならなかった。
このオフシーズンは、鈴木大地(ロッテ→楽天)や美馬学(楽天→ロッテ)といったFA宣言選手は獲得できなかったものの、外国人選手はしっかりと補強した。野手では左打ちの外野手でMLB通算1466試合に出場しているヘラルド・パーラ、投手では韓国で昨季17勝をマークしたエンジェル・サンチェス、平均160キロ近いストレートを誇るチアゴ・ビエイラを獲得した。
ドラフト会議では、1位の堀田賢慎(青森山田高)をはじめ支配下6人中5人が高校生と先を見据えた指名を行った。外国人選手で短期的な戦力アップを目指し、ドラフトでは長期的な土台を作る目論見があるのだろう。
若手有望株の山下航汰、北村拓己らが一塁のレギュラー獲りへ
今回の春季キャンプで注目されるのは一塁手争いだ。原辰徳監督は、若き主砲で昨シーズンチーム最多の69試合で一塁のスタメン起用だった岡本和真を三塁に固定すると明言。その空いたポジションを大城卓三や山下航汰、北村拓己、中島宏之ら若手とベテランが入り乱れて争うこととなる。
多くの場合、確固たる一塁手が不在のチームは、長打力のある外国人選手でその穴を埋めるのだが、巨人の外国人選手を見ると、一塁が本職の選手はいない。このオフに補強したパーラも外野手だ。メジャーでは昨シーズン14試合で一塁の守備についているため、緊急時の起用は考えられるが、現段階での一塁へのコンバートは考えられない。日本人選手たちで争うことになるのが既定路線だ。
大城の本職は捕手のため、小林誠司や炭谷銀仁朗と争った上で、一塁での起用を検討されるだろう。山下と北村は、昨シーズンともにファームで規定打席に到達した有望株。とくに山下は高卒1年目ながら首位打者を獲得しており期待値は高い。
ベテランの中島は実績では一歩も二歩も抜けているが、昨シーズンから加わった巨人では結果を残すことができていない。一軍では43試合の出場で打率.148(54打数8安打)と、多くの試合に出場し始めた2004年以降でキャリアワーストの成績に終わった。いくら実績があっても、ここは勝負の世界。春季キャンプ、オープン戦で結果を残さねば、レギュラーはもちろん開幕一軍にも黄信号が灯る。
一塁のポジションをめぐって、ベテラン、若手、捕手との併用と、さまざまな立ち位置の選手による争奪戦が繰り広げられることになりそうだ。
先発ローテーションの枠はあと「2」
投手陣では先発ローテーション投手が不足している。エースの菅野智之は順調なようだが、昨シーズン投手三冠に輝いた山口俊の穴を埋めなければならない。韓国で昨季17勝をマークしたサンチェスを獲得したものの、日本球界で同じような結果を残すことができるのかは未知数。日本人選手、それも若手の台頭が望まれている。
現時点では、菅野とサンチェスの2人に加え、昨年実績を残したC.C.メルセデス、2年目の髙橋優貴もローテ入りが有力視されるが、この4人に続く投手は決まっていない。昨シーズン、ブレイクした感のある桜井俊貴に高卒2年目の戸郷翔征、シーズン途中に移籍してきた古川侑利、さらには畠世周、今村信貴、髙田萌生。その他にも起用法は定まっていないが、実績のある田口麗斗もいる。山口がつくった11個の貯金、そして投球回170イニングをどう埋めていくかは、若手投手たちにかかっている。
春季キャンプでは、2月4日に「1軍対2・3軍」の紅白戦を行うことがすでに決まっている。ここでは若手投手を中心に登板が予定されており、宮本和知投手チーフコーチのもとへ立候補の連絡は多く来ているという。先発ローテーション入りを目指す投手たちは、最初の紅白戦で結果を残すことが求められる。
一塁手争い、先発ローテーション争いが巨人の注目ポイントとなりそうだ。
2020年プロ野球・読売ジャイアンツ記事まとめ