リーグ制覇4度も日本一は2012年の1度だけ
2010年代の巨人はリーグ優勝が4回、平均順位は2.1位、そしてAクラスは9回と安定した強さを誇っていた。勝率.551はセ・リーグトップであり、2位の広島(.516)とは大きな差がある。近年はその広島が3連覇を達成していたこともあり影が薄い存在となっていたが、決して悪い成績を残していたわけではなかった。
しかし、2010年代の日本一は2012年の1回のみ。その後は2013年、2019年と2回、日本シリーズへと進出したがいずれもパ・リーグ球団の前に敗れ去っている。つまり7年連続で日本一を逃しているということだ。
巨人の歴史を振り返ってみると、日本一を連続で逃しているのは7年が最長。また、7年連続で日本一を逃したのは今回で3回目となる。1回目はV10を逃した1974年から1980年まで。2回目は西武の黄金時代でもあった1982年から1988年までとなっている。2020年代の幕開けとなる今年は球団ワースト記録を阻止することが求められる。
球団史上初の5冠を達成した2012年
巨人が最後に日本一となった2012年シーズンは圧倒的な強さだった。開幕から1勝7敗とスタートダッシュこそできなかったが、そこからの反撃が凄まじかった。
5月は16勝4敗3分と驚異の勝率8割を記録。セ・パ交流戦ではセ・リーグの球団史上初めて勝率1位に輝くと、それ以降も勢いは衰えない。7月、8月もともに勝率は7割を超え、最終的には86勝43敗15分、勝率.667の成績で2位の中日に10.5ゲーム差をつけていた。
勝率.667は平成以降で見ると1990年の.677に次ぐ好成績。杉内俊哉、内海哲也の両左腕を中心とした投手陣はチーム防御率2.16と抜群の安定感を誇った。これは、2リーグ制以降で球団史上3位の数字でもある。また、打撃陣も阿部慎之助が打点王、首位打者、最高出塁率のタイトルを獲得。長野久義と坂本勇人が最多安打を分け合うなど、それぞれが力を発揮しチームを勝利に導いた。
その後、クライマックスシリーズ、日本シリーズも制すと、最後はアジアCSも勝ち取り、5冠を達成している。この年はドラフト会議で菅野智之を1位で指名。菅野は前年に日本ハムが交渉権を獲得したが入団を拒否し浪人を選択。1年越しの巨人愛が実った格好だ。
5冠制覇、そしてこれからの巨人を背負うエースの獲得とまさに充実した1年だった。
【2012年巨人の月別勝敗】
※()は勝率
[3・4月]9勝13敗2分(.409)
[5月]16勝4敗3分(.800)
[6月]12勝7敗1分(.632)
[7月]14勝4敗3分(.778)
[8月]17勝7敗3分(.708)
[9・10月]18勝8敗3分(.692)
【2012年巨人のタイトルホルダー】
阿部慎之助:MVP、首位打者、打点王、最高出塁率
坂本勇人:最多安打
長野久義:最多安打
内海哲也:最多勝
杉内俊哉:最多奪三振、最高勝率
山口鉄也:最優秀中継ぎ
阿部慎之助、坂本勇人から岡本和真へ
2010年代の巨人は野手で阿部慎之助という大黒柱に続き、坂本勇人という絶対的な遊撃手が育ち、岡本和真という大砲も誕生した。幸か不幸か3選手ともに世代が離れている。阿部と坂本は10学年、坂本と岡本は8学年の差があるのだ。そのため選手としてのピークも異なり、王貞治と長嶋茂雄のような圧倒的なシナジーを生み出すことはできていない。しかし、裏を返すと軸となる選手が各年代に順番に誕生しているということでもある。
一方の投手は菅野智之という絶対的エースが生まれたものの、その次の柱となる存在は不在となっている。一時的には山口俊やマイルズ・マイコラスという投手はいたが、ともにMLBへ活躍の場を求めにいった。その他には田口麗斗も結果を残しつつあったが、継続してローテーション投手の役割を果たすことはできていない。2019年には若い戸郷翔征や桜井俊貴が結果を残した。彼らが菅野に続く存在となることができるかどうかによって、投手陣の安定感は大きく変わってくる。
阿部や坂本そして菅野が引っ張ってきた2010年代をどのように発展させていくのだろうか。野手では岡本がそういった役割になりつつある。投手でも戸郷や桜井が同じような存在になれるだろうか。その成否が2020年代の巨人投手陣を大きく左右する。
2020年プロ野球・読売ジャイアンツ記事まとめ