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2010年代の西武は平均順位2.6位も日本シリーズ出場はなし

2020 1/18 11:00勝田聡
埼玉西武ライオンズの辻監督ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

平均順位は2.6位も日本シリーズへの出場はなし

2010年代の西武は、2014年から2016年に3年連続Bクラスの低迷期があったものの平均順位は2.6位。勝率.527はソフトバンクについでパ・リーグ2位だった。

表_2010年代の西武ⒸSPAIA

Aクラス7度もソフトバンクの9度に次ぐリーグ2位の多さ。それだけ安定してクライマックスシリーズへと進出しているということだ。しかし、日本シリーズへの進出は一度もない。すべてクライマックスシリーズで敗退しているのである。しかも、ここ2年はリーグ王者としてファイナルステージに臨んだにもかかわらず、ソフトバンクの前に敗れてしまった。

最後に日本シリーズへ出場したのは2008年のこと。11年間も日本シリーズから遠ざかっていることになる。これだけ長い期間、日本シリーズに出場できなかったのは球団がクラウンライターから西武に変わった1979年以降で、初めてのことである。

対照的だった2010年と2019年

2010年代は終盤の逆転負けから始まった。

2010年、序盤から好調をキープし、ソフトバンクやロッテと争いながらも6月を首位で終える。しかし、7月以降は苦しんだ。岸孝之、中村剛也が故障で離脱。大きな連敗もあり8月下旬には一時3位に後退した。

だが、9月に入ると息を吹き返す。12日までに9勝2敗とラストスパートを見せ、残り10試合の時点で2位のソフトバンクに3.5ゲーム差をつけて一歩抜け出した。そのままのゲーム差でソフトバンクとの最終決戦となる3連戦を迎える。ここでなんと3連敗を喫し0.5ゲーム差に。さらに次の試合でも敗れ、残り3試合の時点でソフトバンクへ首位を明け渡すと、そのまま逃げ切られ2位に終わってしまった。

対照的だったのは2019年だ。前年にパ・リーグ制覇を果たしたものの、菊池雄星(→マリナーズ)、浅村栄斗(→楽天)、炭谷銀仁朗(→巨人)が退団。開幕前から苦戦を予想されていた。

大方の予想通り、序盤から一進一退の状況が続く。4月、5月、6月と勝ち越しているものの、大きな貯金はなく順位も3位、4位あたりをさまよっていた。7月に入っても状況はさして変わらず、7月9日の時点では8.5ゲーム差の4位。混戦模様ではあったものの、首位争いに加わることはできていなかった。

本格的な追い上げが始まったのは8月に入ってからのこと。この月を17勝10敗と大きく勝ち越し、首位ソフトバンクとゲーム差なしの2位にまで詰め寄ったのだ。9月に入ってからは両者譲らぬ戦いを続けていたが、11日に初めて首位に立つと、一時は2位になったものの、最後は振り切り、1試合を残してゴールテープを切った。130試合目でのシーズン首位初到達は、パ・リーグ史上もっとも遅い例となった。

終盤に失速しソフトバンクにかわされ2位に終わった2010年の借りを、9年後となる2019年にしっかりと返した格好だ。

控え選手の充実が課題

西武は2010年代に大型補強を行ってきたわけではない。FAやポスティングによる流出のほうが多かった。それでも3年連続Bクラスの時期はあったものの、比較的安定して強さを維持している。

その源が野手陣だ。2010年代前半は、片岡易之(現・治大)、栗山巧、中島裕之(現・宏之)、中村剛也らの打線が猛威を奮った。近年は山川穂高や森友哉が中心の「山賊打線」が、リーグ屈指の破壊力を誇る。

2019年は首位打者、本塁打王、打点王、最多安打、盗塁王の打撃5部門を異なる5選手で獲得した。また、規定打席に8人の選手が到達した。固定された主力メンバーがシーズンを通して力を発揮したことで、長丁場のペナントレースを制したのである。

主力が固定されているということは、裏を返すと控え選手の出番が少なく経験値が上がらないということでもある。シーズンを通して全選手が不振、怪我のないことなど非常に稀だ。安定して勝ち続けるためには、控え選手の充実は欠かせない。バックアップ要員を含め、選手層に厚みをもたせることが大事になってくる。

2019年シーズン中、選手寮が新しくなり、室内練習場も一新された。環境が整い、レギュラーを狙う控え選手たちもさらなるレベルアップを図りやすくなったわけだ。新しくなった練習場から、2020年代を引っ張る新しいスターが誕生する日が待ち遠しい。

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