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【動画】広島・菊池涼介がMLB挑戦できなかった理由は打撃だけじゃなかった?

2020 1/14 14:06SPAIA編集部
広島・菊池涼介ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

ポスティング申請もメジャー移籍断念

今オフに去就が注目されていた一人、広島の菊池涼介がポスティングシステムによるメジャー移籍を断念し、推定年俸3億円の4年契約で広島に残留した。

過去にポスティング申請したものの移籍できなかったのは、2002年オフの大塚晶文(近鉄→中日、翌年オフにパドレス)、2005年オフの入来祐作(日本ハム自由契約→メッツ)2008年オフの三井浩二(西武残留)、2010年オフの岩隈久志(楽天残留、翌年オフにFAでマリナーズ)、2011年オフの中島裕之(西武残留、翌年オフにFAでアスレチックス)、2011年オフの真田裕貴(横浜→巨人)らがいる。

中京学院大時代はリーグ屈指の遊撃手として活躍し、プロのスカウト陣から「守りだけで飯が食える」と高評価された菊池。打撃ではなく守備の名手としてメジャー挑戦した例は過去にないだけに注目されていたが、事実上の「生涯カープ」を貫くこととなった理由について、株式会社グラッドキューブのCEO金島弘樹がデータからひも解いていく。



スパイア [SPAIA] ちゃんねる
広島・菊池涼介選手の生い立ちとMLB挑戦できなかった理由は打撃だけじゃなかった。衝撃のデータとは?


守備範囲が狭くなった?

今オフのメジャーリーグFA市場にはブライアン・ドジャー(ナショナルズ)やスターリン・カストロ(マーリンズ)ら二塁手が多かったことも菊池には逆風となった。

米メディア「ブリーチャー・ネイション」は「菊池はメジャーリーグレベルの守備力を持っているが、打撃はNPBでも大きく平均を下回っていた。MLBではせいぜい守備専門のベンチ要員であり、そのようなタイプの選手の需要はメジャー契約ではほぼ存在しない」と厳しく断じている。

菊池は2019年も打率.261、13本塁打、48打点、14盗塁と目立った打撃成績を残した訳ではない。ゾーン別に見ると、内角低めは.342、真ん中低めは.329と高打率を残しているが、外角低めは.208と低く、打球方向も27~28%の左翼方向に対して、右翼方向は15%前後と意外なほど引っ張っている。

加えて、最近は守備面でもイメージほどの数字を残せていない現実がある。

平均的な選手に比べて守備でどれだけの失点を防いだかを表す指標であるUZR(Ultimate Zone Rating)は2016年は17.3と高いが、2017年は3.2に落ちている。データ上、守備範囲が狭くなったと見ることができる。

菊池は2013年から7年連続でゴールデングラブ賞を受賞しているが、2019年の守備率は.985で、阿部寿樹(中日、.995)、糸原健斗(阪神、.993)、山田哲人(ヤクルト、.989)に次いでセ・リーグの二塁手で4位。この辺りもMLB移籍が決まらなかった一因なのかも知れない。

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