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楽天は2013年に日本一となるも成績は安定しなかった2010年代

2020 1/15 06:00勝田聡
楽天時代の田中将大ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

1度も連続Aクラス入りを果たせず

2010年代に入る直前の2009年。球団史上初のクライマックスシリーズ進出を果たした楽天だが、2010年代に入ると再び低迷した。野村克也監督が退任し、ブラウン監督が就任した2010年は最下位に沈んでしまう。翌2011年から星野仙一監督がチームを率いたが、2年連続でBクラスとなかなか結果が出ない。

そして迎えた2013年に初のパ・リーグ制覇、日本一を果たしたものの、その後は2年連続最下位など、安定した成績を残すことはできなかった。2010年代の平均順位は4.5位となっており、勝率も5割に届いていない。

2010年代の楽天ⒸSPAIA


球団創設から見ても2年連続でAクラスに入ったことはなく、チームの強さ、勢いは持続しなかった。その現状を打破するべく、2018年9月に石井一久氏をGMへと招聘したのである。石井GMは中長期的に優勝争いができるチームをつくるために大きく動いている。楽天は2010年代の最後にチームを根本から変えようと動きだした。

4連敗以上は2回だけだった2013年

球団創設から8年でAクラスは2009年の1回だけ。2013年も優勝候補に挙げられることはなかった。しかし、この年の楽天は違った。

4月こそ9勝12敗と3つの負け越しだったが、5月は16勝7敗と9つの勝ち越し。その後も順調に白星を積み重ね、7月4日に首位に立つとそのまま逃げ切り。最終的には2位の西武に7.5ゲーム差をつけ、9月26日に球団創設以来初の優勝を達成した。

この年の楽天は大型連敗がなかった。最大連敗は8月17日から22日の「5」。4月こそ4連敗と3連敗が1度ずつあったが、それ以降の3連敗以上は8月の5連敗と優勝が決まった後の10月に1度3連敗があるだけ。大型連敗を喫しなかったことが、優勝のひとつの要因だろう。

大型連敗をしなかったのはエース田中将大の存在が大きい。前人未到の24連勝、そしてQS(6回以上自責点3以下)率はなんと100%。試合を確実につくる田中がいたことで大型連敗を避けることができた。もちろんルーキー則本昂大の存在もある。則本は新人ながら開幕投手を任されると、15勝8敗と田中の「24」には及ばないものの、貯金を「7」つくっている。

打線ではアンドリュー・ジョーンズとケーシー・マギーのふたりが力を発揮した。主に4番を務めたジョーンズは打率.243ながら105四球を選び26本塁打。ジョーンズの後ろに座ったマギーも28本塁打、93打点と両外国人選手が打線の中軸を担ったのである。また、捕手から外野手へとコンバートされた岡島豪郎も79試合の出場ながら打率.323と3割をマーク。主に1番として起用され、核弾頭としての役割を果たしている。

田中の活躍がクローズアップされるが、その他の投手、野手ともに核となる存在がしっかりと結果を残したことが優勝へと繋がったのだ。

石井一久GMが就任後、動きが活発に

2013年以降は優勝から遠ざかっていた楽天だが、2018年9月に石井氏がGMへと就任してから動きが活発になった。2018年オフにはFA権を行使した浅村栄斗を獲得。浅村は移籍初年度から結果を残し、最下位から3位への原動力となった。

2019年オフには、同じくFA権を行使した鈴木大地を獲得。その他にも涌井秀章をロッテから金銭トレードで迎え入れた。次々と積極的な補強を行い、チーム力のアップを図った。また、2019年9月には台湾プロ野球のラミゴモンキーズを買収した。選手交流や育成面でのメリットを狙っている。

このオフにはロッテで活躍した大村三郎氏をファームディレクターに招聘。大村氏は現役引退からの日が浅く若い。選手の兄貴分的な役割を果たすことが期待される。また、2019年にスポーツ新聞社の企画でドラフト候補生を幅広く取材してきた。そういった知見も取り入れようとしているのである。

このように楽天は2010年代後半から2020年代へ向け、大きな変革を遂げようとしている。2013年以来のパ・リーグ制覇、日本一へと実が結ぶ日を楽しみに待ちたい。

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