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鷹・バレンティンはどうなる?“ハズレ”少ない外国人大砲の国内移籍

2020 1/14 06:00青木スラッガー
ヤクルト時代のバレンティンⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

国内移籍した外国人大砲の「その後」はどうだったか?

ヤクルトで9年間プレーしたバレンティンが、ソフトバンクへ移籍した。通算288本塁打の実績を挙げた大砲は、2020年、4年連続日本一を狙う常勝軍団でどのような活躍を見せるだろうか。

主力選手の移籍というと、日本人選手の場合はFA宣言によるものがメインだが、20代後半から30代に入ったあたりで権利を取得する選手が多いこの制度では、新天地で期待された結果を残せずに終わることも珍しくない。FA権を取得、移籍する頃にはすでに下り坂にさしかかっているケースが少なくないのだ。

その点、外国人選手は来日する頃にはすでに20代後半を迎えていることが多い。バレンティンも来日したのが26歳、現在は35歳である。2年10億円とされる大型契約は年齢的にリスキーなようにも思えるところだ。

では、過去の外国人大砲は国内で移籍した際、新天地でも期待された結果を残せたのだろうか。通算本塁打数で上位にいる打者の活躍を振り返ってみたい。

移籍先でも大活躍したレジェンド外国人大砲3人

表_外国人打者通算本塁打順位ⒸSPAIA


外国人打者の通算本塁打数でバレンティンより上にいるのはローズ(近鉄→巨人→米マイナー→オリックス)、ラミレス(ヤクルト→巨人→DeNA)、カブレラ(西武→オリックス→ソフトバンク)の3人だ。

外国人打者歴代トップとなる通算464本塁打のローズは、巨人へ移籍した2004年に45本塁打で本塁打王を獲得。巨人2年目は27本塁打にとどまったが、米マイナーを経てオリックスへ入団した2007年には42本塁打と復活。オリックス2年目にも40本塁打をマークし、この年は118打点で打点王に輝いた。

通算380本塁打のラミレス現DeNA監督は、巨人へ移籍した2008年に45本塁打を放ち、125打点で打点王を獲得。巨人2年目には打率.322で首位打者と最多安打、3年目はキャリアハイの49本塁打と129打点で二冠王に輝いた。

通算357本塁打のカブレラは、西武時代に当時のプロ野球記録であるシーズン55本塁打を達成したことがあったが、西武退団後の本塁打数はオリックス1年目(2008年)の36本が最高となっている。ただ、この年はリーグトップのOPS.987を記録。オリックス3年目(2010年)もOPS.997でリーグ最高(いずれも規定打席以上)、キャリアで2番目に良い打率.331をマークした。

最初に入団した球団でローズは8年、ラミレス、カブレラは7年プレーした末に移籍している。移籍時の年齢は30代半ばと、バレンティンと状況は近い。さすがにそこから10年活躍とはいかないが、年齢的な限界が来るまではいずれも新天地で球界トップクラスの成績を残していた。

新天地での成功は確実?

通算200本塁打以上を見ると、2000年以前の選手では、阪急時代に外国人打者初の三冠王を達成したブーマー(阪急・オリックス→ダイエー)はダイエーでも97打点で打点王に輝いた。レオン(ロッテ→大洋→ヤクルト)、ジョーンズ(南海→近鉄)、マルカーノ(阪急→ヤクルト)、シピン(大洋→巨人)も移籍先で安定した活躍を残している。

近年の選手ではウッズ(横浜→中日)、ペタジーニ(ヤクルト→巨人→レッドソックスなど→ソフトバンク)がいる。

横浜時代に2年連続本塁打王に輝いたウッズは、中日2年目にキャリアハイの47本塁打と144打点で二冠王。中日では4年連続で35本塁打以上をマークした。 ヤクルトでの4シーズンで2度の本塁打王を獲得したペタジーニは、巨人での2シーズンは清原和博との併用で打席数が減少した中、1年目に34本、2年目に29本。ヤクルト時代と変わらないペースで本塁打を量産した。

こうして過去を振り返ってみると、外国人大砲の国内移籍には「ハズレ」が見当たらない。もちろん、もう少しNPBでのプレー年数が短かった選手まで範囲を広げてみるとその限りではないが、最初の球団で何年か安定した成績を残した選手に限っては、移籍後の成功は確実といっていいほどだ。現役ではDeNA・ロペス、ロッテ・レアード、ソフトバンク・デスパイネも移籍先でさらに成績を伸ばしている。バレンティンもこの例に続けるだろうか。

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