複数の大型トレードが成立
2010年代の日本ハムはAクラス6回、Bクラス4回、平均順位は3.2位で勝率は5割を超えており、リーグ優勝も2回(日本一1回)果たしている。
2010年、2011年は梨田昌孝監督が率い、2012年に栗山英樹監督が就任。そこからは監督交代が一度もなく2020年が9年目となる。これは2020年シーズンを戦う12球団の監督のなかで、一番の長期政権でもある。
トレードなどを含めた人事面も積極的だった。2012年オフには4年連続で打率3割を記録し、チームの中心選手であった糸井嘉男をオリックスへトレードに出した。NPBでは主力選手のトレードは珍しく、報じられたときに大きな衝撃が走ったことを覚えている野球ファンも多いはず。日本ハムは糸井と八木智哉の2人を交換要員とし、オリックスから大引啓次、赤田将吾、木佐貫洋の3人を迎え入れた。
また、2016年オフには巨人から大田泰示と公文克彦を獲得している。この際の交換要員には、2012年にリーグMVPに輝いた吉川光夫が含まれていた。その他には、2018年オフにヤクルトから、2017年WBC日本代表の秋吉亮と谷内亮太を獲得。このときは2016年新人王の高梨裕稔と太田賢吾が交換要員だった。主力選手が絡む大型トレードを複数成功させている。
動きは国内だけではない。ポスティングシステムを用いてダルビッシュ有(2011年オフ/レンジャーズ)と大谷翔平(2017年オフ/エンゼルス)のふたりをMLBへ送り出した。一方、台湾球界で初めて同制度を利用した王柏融の獲得も行うなど、人事面で国内外問わず積極的に動いた10年間だったと言える。
抽選を恐れぬドラフト1位指名と、高卒野手の育成
日本ハムは、ドラフトでの姿勢も一貫していた。ポジション関係なく「その年の1番の選手」を指名すると公言。2011年には、巨人・原辰徳監督の甥である東海大の菅野智之を強行指名したほどだ。抽選に当たったものの入団を拒否され、結果的にドラフト1位という金の卵の枠を無駄にした形となった。
翌2012年はNPBを経由せずにMLB挑戦を示唆していた大谷翔平を果敢に指名。今度は入団にこぎつけ、これまでに類を見ない「二刀流」を成功させた。
その後も重複を恐れず松井裕樹(2013年/楽天)、有原航平(2014年/交渉権獲得)、髙橋純平(2015年/ソフトバンク)、田中正義(2016年/ソフトバンク)、清宮幸太郎(2017年/交渉権獲得)、根尾昂(2018年/中日)、佐々木朗希(2019年/ロッテ)に入札。いずれも目玉選手となっており、ドラフト1位指名の姿勢がブレることはなかった。
高卒の野手を育てる方針も一貫している。現在の中心選手である中田翔、西川遥輝、近藤健介、中島卓也は全員高卒。2010年代に規定打席に到達した打者で生え抜きの大卒選手は小谷野栄一と糸井嘉男のみ。それ以外に規定打席へ到達した生え抜きの選手は全員が高卒だった。高卒の野手を育てるのはもはやお家芸と言っていい。
【2010年代に規定打席に到達した生え抜き選手】
<高卒>
西川遥輝
近藤健介
渡邉諒
中田翔
中島卓也
松本剛
田中賢介
陽岱鋼
森本稀哲
<大卒>
糸井嘉男 ※投手としてドラフト指名
小谷野栄一
2023年・北広島に新球場がオープン予定
日本ハムは、北広島市に2023年開業予定で屋根が開閉式の天然芝球場を建設する。周辺には商業施設やホテルなどを併設、複合型の一大空間「ボールパーク」とする見込みである。その来るべき時に向け、チームは準備を行っている段階だ。
2023年まであと3年。現在の主力選手たちが中堅やベテランとなり、チームを引っ張り、近年高卒で入団してきた選手たちが主力となっていることだろう。2010年代と同じように高卒の選手をしっかりと育成できれば、新球場のオープン時に強いチームがそこにはあるはずだ。ここからの3年、どのようにチームを運営していくのか楽しみだ。
2020年プロ野球・北海道日本ハムファイターズ記事まとめ