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数字でみる2019年の日本ハム 攻撃陣が振るわず本塁打と盗塁が激減

2019 12/27 11:00勝田聡
日本ハム・西川遥輝ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

移籍したレアードの穴が埋まらず本塁打は激減

2019年シーズンの日本ハムは中盤まで首位争いをしていたが、8月に大失速。クライマックスシリーズ出場圏内から脱落し、5位でシーズンを終えた。

表1_2019年シーズン日本ハム各種成績ⒸSPAIA


2019年シーズンの打撃面の数字を見るとチーム打率.251はリーグ2位だったものの、560得点は同5位、93本塁打は同6位と本塁打が少なく、得点も伸び悩んだ。本拠地である札幌ドームが広いということはあるが、2018年シーズンは140本塁打でリーグ3位だったことを考えると、少しものたりない。

やはり2018年シーズンオフにブランドン・レアードがロッテへと移籍したことが大きい。レアードの退団に伴い台湾の英雄でもある王柏融が加入したが、故障もありわずか3本塁打に終わってしまった。打者としての性質が違うという部分もあるが、年間30本塁打を期待できる打者の抜けた穴を埋めるのは容易ではない。

一方で投手陣を見ると586失点は2018年シーズンと同数だった。また、チーム防御率はリーグ2位から3位に順位を下げたが、防御率自体は3.77から3.76とほぼ変わらなかった。救援投手が先発して短いイニングを投げ、次に本来の先発投手が長いイニングを投げる「オープナー」戦術を取り入れたが、昨季と今季を比較すると、シーズン全体では失点と防御率の変化は見られなかったようだ。

7月は貯金10をつくるも、8月は借金15と失速

2019年シーズン、成績は乱高下した。開幕から一進一退の攻防を繰り返しながら、セ・パ交流戦の終盤から6連敗で7月に突入する。その7月に日本ハムは大型連勝こそないものの、コンスタントに勝ちを拾い16勝6敗と波に乗った。7月31日終了時点では首位のソフトバンクに0.5ゲーム差まで迫っていたほど。

しかし、8月1日から3連敗を喫すると、1つ勝ってそこから9連敗。さらに8月下旬から9月にかけて8連敗の大失速で順位を大きく下げる。8月は5勝20敗1分となり、7月(単月)の貯金10個を完全に吐き出してしまったのだ。

7月、8月の数字を見ると7月は打率.262で、5月についで打撃陣はまずまず好調だった。チーム防御率3.30も9月につぐ数字。投打とも年間で2番目に良い数字を出した7月にチームとしても好成績を残した。

一方で8月は打率.235は月別でワースト、防御率4.28はワースト2位。投打の歯車が狂ってしまい、大きな借金を背負うことになってしまった。

【月間成績】
3・4月(12勝12敗2分):打率.240/防御率3.97
5月(14勝12敗):打率.276/防御率3.39
6月(9勝12敗2分):打率.253/防御率4.39
7月(16勝6敗):打率.262/防御率3.30
8月(5勝20敗1分):打率.235/防御率4.28
9月(9勝11敗):打率.240/防御率3.04

西川遥輝の影響?盗塁数、成功率ともに低下

その他の数字で大きな変化があったのが盗塁関連である。2018年シーズンの98盗塁(リーグ3位)から48盗塁(同5位)と50も減少した。5年連続30盗塁以上を記録していた西川遥輝の盗塁数が、2018年の44から19となり25も減ったのが大きな要因だ。また、チーム全体の盗塁成功率も、リーグトップの.803からリーグ5位の.658へと低下。西川個人の盗塁成功率も.936から.792へと大きく下がっている。

オープナー制度を取り入れたこともあり、QS(6回以上自責点3以下)はリーグワーストの39試合となっている。また失点数は前年と変化がなかったことには先に触れたが、WHIP(1回あたりに何人の走者を出したかを表す指標)も昨季1.27、今季1.22とさほど変化がなかった。

投手の調整方法は変わるが、チームとしては大きな影響がなかったことになる。栗山英樹監督は、2020年シーズンも同様の戦術を取り入れることが濃厚。一方で中継ぎの宮西尚生は「オープナーが悪いというわけではなく、リリーフの調整が難しかった」と前向きな意見として球団に要望した。宮西の発言を受け、チームそして栗山監督の采配はどのように変わるだろうか。