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数字でみる2019年の阪神 救援陣の防御率2点台はリーグ唯一、盗塁数もリーグトップに

2019 12/29 11:00勝田聡
阪神タイガースの梅野隆太郎とピアース・ジョンソンⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

長打力不足で538得点はリーグ最下位

矢野燿大監督が就任し、新体制で臨んだ2019年シーズンの阪神。前年の最下位から3位へとジャンプアップし、終盤の快進撃でクライマックスシリーズ進出を勝ち取った。

表1_2019年シーズン阪神各種成績ⒸSPAIA


その躍進の理由は投手力にある。566失点はリーグ2位だったものの、チーム防御率3.46は1位。とくに防御率は前年の4.03から大きく改善した。また、甲子園球場という比較的本塁打の出にくい球場が本拠地ではあるものの、被本塁打はリーグ最少となる115本に抑えている。

一方で打撃陣は苦しんでいる。チーム打率.251はリーグ4位、94本塁打は5位と低迷。その結果、得点数も伸び悩み、リーグワーストの538得点に終わっている。ひとつの要因は4番候補として期待された大山悠輔が14本塁打に終わったことだ。しかも、これがチーム内では最多の本数だった。広い甲子園球場、左打者に不利とされる浜風と本塁打が出にくい要素はあるものの、もう少し長打力がほしいところだ。

救援の防御率はリーグ唯一の2点台

リーグトップの防御率を誇る投手陣だが、より際立っているのは救援陣である。

島本浩也(63試合/防1.67)、ジョンソン(58試合/防1.38)、守屋功輝(57試合/防3.00)、藤川球児(56試合/防1.77)、ドリス(56試合/防2.11)、能見篤史(51試合/防4.30)、岩崎優(48試合/防1.01)と7人がほぼフル回転。能見こそ防御率4点台だったが、その他の6人は軒並み優秀な数字を残している。彼らを軸とした救援陣のチーム防御率は2.70でリーグトップ。2点台はセ・リーグ唯一でもあった。前年は3.70でリーグトップだったが、そこからさらに1点も改善したのである。

チームのBB/9(1試合あたり何個の四球を出すかを表す指標)も3.59(4位)から3.10(1位)へと大幅に改善した。なかでも2019年シーズンから加入した西勇輝の存在は大きい。西のBB/9は1.88でチーム内トップ、セ・リーグでは大瀬良大地(広島)に次ぐ2位である(いずれも規定投球回数以上)。

一方で失策は多かった。12球団最多の102。阪神にとっては2000年の101個以来、19年ぶりの3桁失策でもあった。守備が改善されればチームの失点をさらに減らせるはずだ。

近本光司の加入で盗塁数アップも、成功率は低下

打撃面では長打力不足が浮き彫りになっているが、その他の数値はどうだろうか。

近本光司の加入もあり、盗塁数は77から100に増えリーグトップとなった。一方で盗塁成功率.735は前年の.786から下がり、リーグ1位から2位へと後退している。近本は36盗塁で盗塁王を獲得したが、盗塁成功率は.706と決して高いとは言えず、課題を残した。

近本の次に多く盗塁を決めているのは意外にも捕手の梅野隆太郎でその数は14(失敗3)、成功率は近本以上の.824だ。今年は惜しくも9本塁打に終わったが、2桁盗塁・2桁本塁打を捕手として記録すれば、1999年の古田敦也(ヤクルト)以来となる。打って走れる捕手になれるか。

長打力不足の現状を打破するため、阪神はこのオフにMLB通算92本塁打の左の大砲候補ジャスティン・ボーア、韓国プロ野球(KBO)の打点王である右のジェリー・サンズを獲得した。左右の大砲で長打力アップが叶えば、得点力も大きく変わるはずだ。

はたして新外国人選手の加入でチームは生まれ変わるだろうか。長距離砲が加わることで、2005年以来の優勝も現実味を帯びてくる。