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数字でみる2019年の広島 5月に球団記録の20勝、打撃は低調も防御率は改善

2019 12/28 06:00勝田聡
広島カープの大瀬良大地
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ⒸSPAIA

総得点が125点減少も、防御率は改善

セ・リーグ4連覇を目指した広島は、4位に終わった。3位の阪神とはわずか0.5ゲーム差。紙一重で優勝だけでなく、クライマックスシリーズ進出を逃してしまった。丸佳浩(現・巨人)が昨シーズンのオフにFAで移籍したことにより、得点力の低下が懸念されていたが、まさにそのとおりとなってしまった。また、主軸のサビエル・バティスタが禁止薬物の使用で出場停止処分を受けた。その影響で103試合の出場にとどまっている。そのなかでも鈴木誠也は役割をまっとう。打率.335、28本塁打、87打点と結果を残し、首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得している。

2019年シーズン広島各種成績


チームの総得点はリーグトップの721点から、リーグ4位の596点と125点も減少した。本塁打数もリーグ2位の175本からリーグ4位の140本と35本も減っている。丸とバティスタの影響は大きかったはずだ。一方で投手の数字は改善した部分もある。601失点はリーグ4位だが、チーム防御率はリーグ2位の3.68。前年の4.12(3位)から順位は1つだけだが、数値的には大きく改善している。

5月に球団記録の20勝も、他の月はすべて負け越し

広島は開幕戦で移籍した丸を完全に封じ込め、巨人に勝利したもののその後3連敗。4月も11勝13敗と波乗れずに苦しんでいた。しかし、5月に入ると快進撃が始まる。5月11日から11連勝を記録すると負けをひとつ挟んでそこからまた勝ちを積み重ねていく。月間成績は20勝4敗と驚異のペースで4月までの借金を取り返した。この月間20勝は球団記録でもある。

だが、6月の交流戦は5勝12敗1分と大きく負け越し。つづく7月には11連敗を記録する。その後も勝ち切ることができず、5月の貯金をすべて食いつぶしてしまい、最終的には勝率5割でシーズンを終えている。 シーズンを通して勝ち越したのは、20勝を記録した5月だけ。それ以外の月はすべて負け越しと不安定な戦いぶりだった。

【広島の月別成績】
3月:1勝2敗
4月:11勝13敗
5月:20勝4敗1分
6月:6勝15敗2分
7月:11勝12敗
8月:13勝14敗
9月:8勝10敗

打撃面では各項目の数字が軒並み減少

丸とバティスタのふたりが打線から抜けたことで打撃面の数字は低下。打率(.262→.254)、本塁打(175→140)、二塁打(227→216)、四球(599→479)とあらゆる項目が軒並み下がった。その影響もあり出塁率(.349→.324)と長打率(.431→.392)も大幅にダウンしている。鈴木誠也が結果を残し、西川龍馬がブレイクしたが、それだけではやはり主軸ふたりの穴は埋まらなかった。

投手陣は先発(4.26→3.75)と中継ぎ(3.87→3.63)どちらも防御率が改善した。とくに先発投手の完投数が3から10に増えた。とくにエースの大瀬良大地は2から6と3倍に増えている。一方でホールド数(98→95)、セーブ数(38→23)は減少。とくにホールドはリーグ唯一、100に届かなかった。これは中崎翔太や今村猛、一岡竜司といったこれまで勝ちパターンで投げてきた投手たちの離脱が大きい。菊池保則や中村恭平らが穴を埋めてはいたが、勝ちパターンを確立するには至らなかった。

2020年シーズンからは佐々岡真司新監督が指揮を執る。打線の作り直し、そして勝ちパターンの確立と投打ともにやるべきことがある。まずは軸を作ることで再び頂点を目指す。