復活を印象づけた日本シリーズでの好投
昨季は春季キャンプ中に左肩を痛め、1軍での登板なしに終わったソフトバンクの和田毅。今季は4勝(4敗)ながらも、巨人との日本シリーズ第4戦で好投し16年ぶりに同シリーズで白星を挙げるなど復活を印象づけた。
メジャーから古巣ソフトバンクに復帰した2016年は、15勝(5敗)でいきなり最多勝を獲得。「ソフトバンクに和田あり」を見せつけ、2017年も登板は8試合だったものの4勝(0敗)。そして、昨季の左肩痛を乗り越えての今季の復活。来年は39歳のベテラン左腕には、もうひと花もふた花も咲かせてくれそうな雰囲気だ。
特に日本シリーズでの投球は圧巻だった。3連勝で日本一に王手をかけて臨んだ第4戦、敵地・東京ドームのマウンドに上がり、初回から飛ばした。初回に無難な立ち上がりを見せると、2回には先頭打者のゲレーロを空振り三振。後続にもキレのある直球、変化球を投げ込み3者連続三振に斬ってとった。結局和田は5回を投げ、1安打6奪三振無失点の好投。ソフトバンクの3年連続日本一に貢献した。
目を見張ったのは、コーナーをつく伸びのある直球。球速は140km前後ながら、巨人の各打者が振り遅れる場面が多く、手元での伸びを感じた。直球や変化球のキレがあり、制球も良く、緩急も自在。巨人打線を全くと言っていいほどよせつけなかった。今季は西武打線に酷く打ち込まれるなど、時折らしくない姿を見ることもあったが、最後に本人も納得の投球ができたことは、来季へ向けた期待をうかがわせた。
直球での奪三振数の多さ
和田の特長といえば、奪三振数の多さ。NPB通算1565奪三振をマークしており、かつてのソフトバンク時代だけでなく、早稲田大時代やメジャー時代にも「ドクターK」と称されてきた。キレのあるスライダーやチェンジアップも和田の得意球ではあるが、何よりも直球での奪三振が多いことが挙げられる。
今季は登板数が少ないこともあり、奪三振数は45個だったが、そのうちの28個が直球で奪ったものだ。メジャーからソフトバンクへ復帰して最多勝に輝いた2016年に関しては、シーズンの奪三振数が157。そして、驚くべきことにそのうちの103個の三振が直球によるものだ。
40歳近くになってもこれほどの三振がとれ、キレと制球力を維持できているのは希有なこと。ちなみに、今季の最速は146km。球速はルーキー時代よりもアップしている。
盟友との対戦も刺激に
今オフ、盟友の松坂大輔が古巣の西武に復帰。互いにメジャーを経由し、一時はソフトバンクでチームメイトにもなったが、時をこえて再び同一リーグで相まみえる立場となった。かつては、互いにチームのエースとして対峙していたが、今では先発ローテーション枠を勝ち取らなければいけない立場でもある。
松坂が「同世代が引退していく中で、自分が元気な姿を見せたい」と語れば、松坂世代の和田は「大輔と対戦する機会も出てくると思う」と意気込む。14年ぶりに両投手の投げ合いが実現するとすれば、見物。そして、それは近年ペナントレースでしのぎを削りあうソフトバンク対西武戦で実現する。
10年以上前、和田は目標について「先発として、第一線で投げ続けること。40歳をこえても投げられる投手」と話していたが、それも現実味を帯びてきた。今季の復活を足がかりに、再びマウンドで輝きを放ち続ける和田の姿に期待したい。