「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【動画あり】セイバーメトリクスの指標IsoPとは?2019年プロ野球1位は山田哲人

2019 12/21 11:00SPAIA編集部
山田哲人ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

セイバーメトリクスの指標IsoPとは

10数年前のプロ野球で打者を評価する指標として広く用いられていたのは、打率・本塁打・打点・盗塁などが主で、メジャーリーグで使用されるセイバーメトリクスという考え方はそれほど注目されていなかった。しかし、『マネー・ボール(著マイケル・ルイス)』が日本で文庫化されると、少しずつではあるがセイバーメトリクス的な考え方が取り入れられるようになってきた。

現在、OPS(長打率+出塁率)やWHIP(1イニングに何人の走者を出すかを表す指標)など多くの指標が日本でも使用されている。その中にIsoPと呼ばれる指標がある。Isolated powerの略であるIsoPとは、打者の純粋な長打力を測ることを目的に開発された指標である。

打者の長打力を測る指標としては長打率を挙げる方も多いと思うが、長打率の計算式は以下である。

長打率=(単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4)/打数

4打数で本塁打1本の打者Aと4打数でシングルヒット4本の打者Bが存在する場合、それぞれの長打率は1.000となり、長打を打っていない選手と長打を打つ選手の値が等しくなってしまう。
打者Aの長打率=(0×1+0×2+0×3+1×4)/4=1.000
打者Bの長打率=(4×1+0×2+0×3+0×4)/4=1.000

これは長打率が正確には「打者が長打を打つ能力」を測る指標ではなく、「打撃によって進塁する(進塁に貢献する)能力」を測る指標であることが原因となっている。 IsoPは要素からシングルヒットが排除されているため二塁打以上のヒットを打つ能力について評価が可能なのだ。

IsoP計算式

【IsoP】
計算式:長打率 - 打率
概要:打者が長打(二塁打以上)を放つ能力を測る指標。長打率から単打の要素を除くことでより純粋な長打力を測ることができる。長打率は打者の打率が高ければ、単打のみでも長打しか打たなかった打者を上回ってしまう場合があるが、IsoPでは単打しか打たない打者の数値は0となる。

スパイア [SPAIA] ちゃんねる
【セイバーメトリクス】IsoP とは?長打力No.1打者は山川穂高ではなかった?
※動画の1分30秒から2分にかけての発言で、「長打力」とするべきところを「長打率」としいるものがありました。正しくは「長打力」です。

2019年のプロ野球IsoP 1位は山田哲人

2019年のプロ野球のIsoP 1位は山田哲人の.288。セ・リーグ、パ・リーグ別で見ると以下のようになる。

【セ・リーグ】
1位:山田哲人(ヤクルト).288
2位:ソト(DeNA).285
3位:バレンティン(ヤクルト).273
4位:坂本勇人(巨人).263
5位:村上宗隆(ヤクルト).250

【パ・リーグ】
1位:山川穂高(西武).284
2位:ブラッシュ(楽天).279
3位:デスパイネ(ソフトバンク).261
4位:浅村栄斗(楽天).244
5位:中村剛也(西武).242

※ランキングは規定打席到達打者のみ