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支配下契約をつかめるか? AWBに派遣された育成契約選手たち

2019 12/20 11:00勝田聡
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ⒸSPAIA

AWBには多くの育成契約選手が参加

台湾で行われていたアジア・ウインターリーグ・ベースボール(以下、AWB)は日本から参加していた社会人選抜が優勝した。NPBからは広島と日本ハムを除く10球団の若手で構成された2チーム、NPBレッドとNPBホワイトが参加し、NPBレッドは2位、NPBホワイトは5位に終わっている。

若手選手が中心ではあるが、この大会で結果を残し、後にブレイクを果たす選手も少なくない。参加した若手選手たちの飛躍は2020年シーズンへ向けた楽しみのひとつだろう。

そんな選手たちのなかには育成選手も多く含まれていた。彼らは一軍で活躍するという大目標の前に、まずは支配下登録を勝ち取らなければならない。このAWBで結果を首脳陣たちへとアピールできたのだろうか。育成契約の選手達の結果を振り返ってみたい。

ソフトバンク砂川リチャードが3本塁打

育成契約の野手でAWBに参加したのは5名だった。その5名の成績は下記の表の通り。

AWB育成契約野手成績

そのなかで大きな期待をかけられていたのが、砂川リチャード(ソフトバンク)である。ソフトバンクが誇る長距離砲候補は、台湾入りする前に王貞治球団会長から「本塁打を6本打ったらなにかあげるよ」と声をかけられており、注目を浴びていた。

その期待に答えるかのように6試合終了時点で打率.440、3本塁打、10打点と大爆発。しかし、その後は本塁打が1本も出なかった。とはいえ、打率.299、3本塁打(トップタイ)、17打点(リーグ2位)と好成績を残している。王会長に言われた6本塁打は放つことができなかったものの、結果を残したと言っていいだろう。

砂川に次ぐ結果を残したのが、黒田響生(巨人)である。打率.257、0本塁打、1打点の数字だけを見れば平凡だが、阿部慎之助二軍監督が「(坂本)勇人の19歳のときよりポテンシャルも技術も上」と大絶賛。2018年育成ドラフト4位のルーキー黒田が支配下登録を手繰り寄せている。

ジュリアス(ヤクルト)が最優秀投手に

一方の投手は8人の育成契約選手が参加している。

AWB育成契約投手成績

そのなかで結果を残したのはジュリアス(ヤクルト)だろう。5試合(15回)を投げ、防御率0.60と圧倒的な成績を残し最優秀投手として表彰もされた。もともとジュリアスは支配下指名だったが、2017年にトミージョン手術を受けたことで育成契約となっていた。この快投をきっかけに支配下復帰となるかもしれない。

尾形崇斗(ソフトバンク)も圧巻の成績を残している。中継ぎとして起用された尾形はクローザーも任された。11.2回を投げ23奪三振、与四球3は誇れる数字と言っていい。育成契約から次々に活躍する選手が現れるソフトバンクにまたひとり新星が誕生した。

ジュリアスと尾形以外の5人は少し苦しんだ。5人全員が防御率4点台を超え、結果を残したとはいい難い。しかし、そのなかで鎌田光津希(ロッテ)は、6.1回を投げ防御率4.26ながら、与四球は1個だけと制球面では力を発揮できた。2018年育成ドラフト1位で入団した鎌田が2年目のシーズンを迎える前に、支配下登録を勝ち取れるだろうか。

このように育成契約の選手達もAWBの舞台で結果を残した選手は多い。来春のキャンプ、オープン戦でさららなるアピールを行い、支配下登録を勝ち取ることに期待したい。