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阪神の平成「高卒ドラ1投手」の成績は? 藤川球児が球界を代表する投手に

2019 12/18 06:00勝田聡
阪神・藤川球児ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

西純矢は2年時に甲子園で全国区へ

2019年のドラフト会議で阪神は6人を支配下で指名したが、そのうち5人が高校生だった。そのなかで最も注目を集めているのが、ドラフト1位の西純矢(創志学園高)だろう。

2年時に夏の甲子園へ出場すると、初戦で創成館高相手に16奪三振と圧巻の投球を見せ、名前が全国的に知れ渡った。投球後にガッツポーズを繰り出すことでも話題を呼んだ。3年時は甲子園への出場はなかったが、WBSC U-18 ベースボールワールドカップに日本代表として出場。4試合に登板し13.1回を投げ、17奪三振、防御率1.35。打撃面でも打率.500(12打数6安打)、2本塁打、9打点と非凡な才能を見せた。

このように西は投打に渡り期待が持てる選手であることは間違いない。1年目から即戦力として活躍することはないにしても、数年後にはチームを背負うような選手になっていることを強く望まれている。

では、阪神がドラフト1位で指名した高卒の投手は、どのような成績を残してきているのだろうか。昭和から平成に変わった1989年以降、ドラフト1位で指名された投手の結果を振り返ってみたい。

平成になってから6人目のドラフト1位の高卒投手

1989年以降に阪神がドラフト1位で指名した高卒の投手は、安達智次郎(1992年/村野工)、山村宏樹(1994年/甲府工)、藤川球児(1998年/高知商高)、鶴直人(2005年高/近大付)、藤浪晋太郎(2012年/大阪桐蔭)の5人。そして、西で6人目。成績は下記の通りだ。

阪神の高卒ドラフト1位指名投手・通算成績(NPBのみ)ⒸSPAIA


この表を見てもわかるとおり藤川の成績が圧倒的だ。1998年ドラフト1位で入団してからNPBでは766試合に登板し、積み上げたセーブの数は241。2019年は39歳という年齢に屈することなく、シーズン半ばから抑えを務めチームを3位に導いた。すでに矢野燿大監督は2020年シーズンの抑えも任命しており、その信頼は厚い。

だが、そんな藤川でも初年度から順風満帆だったわけではない。1年目は一軍登板がなく、2年目に一軍デビューを果たすも0勝0敗、防御率4.76。22.2回を投げ与四球18と、制球が定まらず結果を残すことができなかった。

その後、先発中継ぎと両方の役割で起用された藤川が本格化したのは、完全に中継ぎへと転向した2004年、プロ入り6年目のことだった。この年、26試合で防御率2.61の結果を残すと、翌2005年には80試合に登板。以降は中継ぎとして屈指の存在となり、MLB移籍を経て現在に至っている。

藤浪晋太郎は4年目から下降線

藤川以外の投手はどうだろうか。直近の高卒ドラフト1位投手である藤浪は、藤川とは真逆のロケットスタートで、1年目にデビューしてから3年連続2桁勝利を記録した。しかし4年目から成績が急下降し、2019年シーズンは未勝利に終わってしまう。この秋には山本昌臨時コーチの指導を受けており、2020年シーズンの巻き返しに期待がかかっている。

山村は阪神では結果がでなかったものの、近鉄、楽天と渡り歩き才能が開花。楽天時代は貴重な中継ぎとして、野村克也監督に重宝された。高校時代に大阪四天王と呼ばれた鶴は、プロ入り後に伸び悩みドラフト1位としては少し物足りない成績に終わってしまう。そして、安達は一軍出場なくユニフォームを脱いだ。

今年ドラフト1位で指名された西には、藤川のような球界を代表する投手に育つことを期待したい。