スタメン起用7人はリーグ最多
近年のプロ野球では、疲労軽減、投手との相性、打撃面の優劣など様々な要因から、いわゆる「正捕手」を据えない複数人の併用が珍しくなくなった。
なかでも2019年は中日にその傾向が顕著だった。全143試合のスタメン起用人数は7人にものぼる。その他のセ・リーグ5球団では、巨人が6人、ヤクルト5人、DeNA4人、広島・阪神3人となっており、7人は最も多い。
中日では谷繁元信が長きに渡って正捕手を務めてきた。2002年から、監督兼任となる前の2013年まで毎年100試合以上に出場。途中交代での出場などで規定打席に到達していない年もあるが、ほぼひとりでマスクをかぶってきたと言ってもいい。その間Bクラスは2013年の1度しかなく、中日はAクラス常連だった。
谷繁が兼任監督となった2014年以降、毎年のように争いが繰り広げられるものの正捕手は確立しておらず、成績もずっとBクラスに低迷している。
さて、その谷繁が中日へ加入した2001年オフ以降にドラフト指名された捕手は、どのような成績を残してきたのか、振り返ってみたい。
2001年以降、14名の捕手をドラフトで指名
2001年から2019年までにドラフト指名された捕手は、育成指名を除くと下記の14名。先日指名された郡司裕也(慶応大)のデビューは2020年なので、これまでに出場の可能性があったのは13名だ。
最も多く出場機会を勝ち取っているのが、2006年高校生ドラフト3巡目で入団した福田永将だ。これまで608試合に出場し69本塁打を放っている。福田は早い段階で内野手に転向しており、捕手としての出場はほとんどない。
田上秀則は470試合に出場しているが、多くはソフトバンクへ移籍後のもの。中日での出場はわずか13試合、打率.111(18打数2安打)、本塁打0、打点1だった。
福田、田上に次ぐ出場数は松井雅人の417試合だ。この松井もすでに中日にはいない。9年目となる2018年、92試合の出場で打率.229(218打数50安打)の成績だったが、正捕手奪取とはならず、2019年途中にオリックスへと移籍した。
このように、2001年シーズン以降にドラフトで指名した捕手たちは「中日の捕手」としては結果を残せていない。
高卒1年目で12試合に出場した石橋にかかる期待
そこで期待されるのが、石橋康太である。石橋は2018年ドラフト4位で入団。1年目から12試合に出場し、スタメンマスクもかぶった逸材だ。同期でドラフト1位だった根尾昂がお預けとなった初安打も、すでに記録している。
谷繁以降、「不動の正捕手」がいない中日で、現時点では加藤匠馬や木下拓哉ら先輩たちの控え。だが、1年目からこれだけ一軍で起用されているところを見ると期待度は高く、今後数年で正捕手の座を奪い、君臨する可能性は十分にある。
2番手、3番手として一軍で出番を待つのか、それとも二軍で実戦経験を積むのか。2020年の起用法に注目だ。
※数字は2019年シーズン終了時点