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阪神の新助っ人J・ボーアはブラゼルになれるか 鍵は対左ピッチャー

2019 12/7 06:00棗和貴
Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

阪神、J・ボーアと契約

11月30日、MLBの公式サイトを含む複数のメディアは阪神がジャスティン・ボーアと契約したと報道した。ボーアはMLB通算で92本のホームランを放った左打ちのスラッガーで、2017年と2018年には2年連続でホームラン20本以上を放っている。2019年には大谷翔平と同じエンゼルスに所属していた。

今シーズン、阪神のチームホームラン数はセ・リーグ5位の94本(リーグ1位だった巨人のおよそ半数)だっただけに、ボーアへの期待は大きい。阪神の谷本本部長は、「(2009年から4年間、阪神に在籍していた)ブラゼルに似ている」と語っている。

J・ボーアはブラゼルになれるか

ジャスティン・ボーアはブラゼルのように活躍できるのだろうか。

少なくとも、ブラゼル同様に左打ちで長打力が魅力のスラッガーであることは間違いない。ホームランになりやすい打球速度と打球角度を意味するバレルや、ハードヒットの割合もMLBの平均を大きく上回り、キャリアハイの25本塁打を放った2017年には、オールスターのホームランダービーにも出場している。

また、広角に長打が打てる点もブラゼルと似ている。ブラゼルが47本塁打を放った2010年、当時阪神の監督だった真弓明信氏は逆方向に強い打球を打てることを称賛したが、ボーアも同じストロングポイントを持っている。

メジャー6年間でボーアは165本の長打を放っているが、そのうち80本はセンターからレフト方向の打球だった。割合にして48.5%である。甲子園球場は浜風の影響で左打者が不利だと言われているが、力強い打球が多く見られるかもしれない。

ただ、ボーアには弱点がある。左ピッチャーに極端に弱いのである。対左右ピッチャー別の打撃成績を見てみると、各項目で成績が悪くなっている。

J・ボーア:MLB通算対左右ピッチャー別成績ⒸSPAIA


その傾向はとくに長打に関して顕著であり、対右ピッチャーの通算ホームランが84本なのに対し、対左はわずか8本である。そして、2019年に限って言えば、ボーアはわずか1本しか長打を打てていない(それも二塁打である)。左ピッチャーの克服がない限り、少なくとも2010年のブラゼルのような活躍は期待できないだろう。

ボーアが活躍するためのもう一つの要素

そしてもう一つ、ボーアがブラゼルのように活躍するために重要な要素がある。日本愛である。

ブラゼルは日本の文化や習慣に順応しようと努め、その姿勢はチームメイトや多くの阪神ファンから愛された。その証拠に、ブラゼルは息子のミドルネームに「Koshien(甲子園)」と名付け、彼のツイッターにはいまでも頻繁に阪神に関するつぶやきを見ることができる。

アメリカ時代にボーアとの対戦がある藤川球児によると、ボーアは親日家であるようだ。また、マーリンズ時代に同僚だったイチローをリスペクトしており、2017年のシーズンオフには神戸での自主トレに参加している。

外国人選手が日本の野球や文化に慣れるのはとても難しい。なかでも阪神は、結果を残さない者へのファンの野次は容赦がない。あるいは、それはボーアにとって左投手よりも優先的に“克服”されるべきものなのかもしれない。