選手層の厚さで3年連続日本一を達成
ソフトバンクは故障者が多いシーズンだった。なかでも開幕早々に離脱した柳田悠岐の穴は大きかったはずだ。打率3割、30本塁打、100打点を狙える主砲が38試合の出場にとどまってしまったのである。
その他にも中村晃や今宮健太も離脱期間がありベストメンバーをなかなか組むことできなかった。投手陣も同様だ。岩嵜翔や石川柊太が故障で2試合ずつしか投げていない。デニス・サファテも故障から復帰できず、一軍登板0でシーズンを終えている。
そんななか、周東佑京や釜元豪、髙田知季、投手陣では甲斐野央といった控え選手や新人たちの踏ん張りもあり、2位でクライマックスシリーズ(以下、CS)へと駒を進める。ほぼベストに近いメンバーが揃ったCSでは、3位の楽天、首位の西武を破り日本シリーズへと進出。大舞台ではセ・リーグの覇者である巨人を4連勝で退け、3年連続日本一に輝いている。
悲願のリーグ制覇とはならなかったが、故障者の多さを選手層の厚さで乗り切った格好だ。
ここから控え選手達がレギュラーを脅かす存在になると、今度は「世代交代」も進んでいく。特に内野手は内川聖一と松田宣浩のふたりが35歳を超えており、後継者の育成が求められている。
周東佑京が三塁でレギュラーを目指す
この秋、一躍全国区の存在となった周東が三塁の守備練習を行うという。代走で多く起用されてきた周東だが、守備につく時は主に外野(82試合)だった。内野の守備にもついているが、二塁(5試合)、三塁(3試合)とその数は少ない。
春季キャンプから練習を行ったとしても、三塁のレギュラーである松田宣からいきなりポジションを奪うことはむずかしいだろう。しかし、少しずつ経験を積んでいくことで2年後、3年後の世代交代へ道筋をつけることはできる。
松田と周東のタイプは大きく違うのは事実としてある。しかし、周東が三塁を一軍レベルで守れるようになれば、たとえば松田を指名打者に置くといった新たなオプションを使うことができるようになる。つまり戦略の幅が広がるということである。
ベテラン松田からの世代交代の第一歩を踏み出すことができるだろうか。
2016年ドラフト1位の田中正義がウインターリーグで好投
投手陣で期待されるのは田中正義だ。2016年ドラフト会議で5球団競合の末、ソフトバンク入りした田中だが、ここまでの3年間で一軍登板は中継ぎとして11試合のみ。そのなかでも0勝1敗、防御率8.16と結果を残せていない。
このオフはプエルトリコで行われているウインターリーグに派遣され、レベルアップを図っている。そのウインターリーグでは先発での起用もあり、好投を見せた。
千賀滉大や高橋礼、リック・バンデンハークとローテーションの柱になりうる存在はいる。また、4番手以降には武田翔太、東浜巨、石川柊太、大竹耕太郎ら名前は多く挙がるものの確固たる投手は不在。
田中がウインターリーグだけでなく、春のキャンプ、オープン戦でも結果を残すことができれば、その争いに加わることも十分に考えられる。もちろん、これまでと同じように中継ぎとしての起用の可能性もある。どちらにせよ、先発でも結果を残せたのは心強い。
チームの先輩である3球団競合ドラフト1位の東浜巨は初年度から白星を挙げていたが、本格化したのは4年目のシーズンだった。5球団競合のドラフト1位田中も4年目となる2020年シーズン、先輩と同じように結果を残すことができるだろうか。
圧倒的な戦力を誇るソフトバンクの選手層がまた厚くなるかもしれない。