圧倒的なスピードボール
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2019年6月9日の西武戦で160キロのストレートを投じ、左投手としてのNPB最速記録を更新したDeNA・エスコバー。圧倒的なスピードボールを武器にセットアッパーを担い、リーグトップの74試合に登板した。今回は剛腕リリーバーのストレートにどのような特徴があるか探っていきたい。
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まず、エスコバーはストレートを多投する投手で、2019年の投球割合63%はNPBでも有数の高さだ。さらに、2ストライク後は数値が上昇し、7割以上の確率でストレートを投げ込む。追い込んだ後は変化球で打者を仕留めにかかる投手が多い中、力で押すスタイルを選択している。
高めのストレートの奪空振り率は20%
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次に、ストレートを投じた高さに注目したい。追い込む前は高低にバランスよく投げ分けており、高めへの割合は38%とNPB平均を下回っている。しかし、追い込んでからは2球に1球以上の確率で高めへ投球。一般的にストレートは追い込むと高めに投げられる割合が上昇するが、ここまで大幅に上がるケースは珍しい。
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では、高めのストレートにはどのような特徴があるのだろうか。最大のメリットは、空振りを取りやすいという点だろう。球界屈指の奪空振り率を誇るエスコバーもその例に漏れず、高めのストレート奪空振り率は20%に迫っている。エスコバーは三振を狙うため、2ストライク後は意図的に高めへ投げているのかもしれない。
奪三振率10.51を記録
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結果として、ストレートで奪った空振り三振は救援投手ながらNPB2位の56個。そのうち、38個が高めで奪ったものだった。2019年のエスコバーは最速160キロのスピードボールを高めへ投げ込むスタイルで、来日3年目で自己最高となる奪三振率10.51を記録した。
来日1年目のシーズン途中に日本ハムからトレードでDeNAへ移籍し、今やチームに欠かせない存在となったエスコバー。登板がかさんでも「毎日でも投げたい」と献身的にブルペンを支える姿勢から、首脳陣の信頼も厚い。剛腕サウスポーは新たに2年契約を結んでおり、2020年以降も豪快なピッチングを見せてくれるはずだ。
※文章、表中の数字はすべて2019年レギュラーシーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:片山 信春
2020年プロ野球・横浜DeNAベイスターズ記事まとめ