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阪神は4番候補・大山悠輔と左のエース候補・髙橋遥人の奮起に期待

2019 12/3 06:00勝田聡
阪神タイガース_大山悠輔選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

藤川球児らリリーフ陣が奮闘

終盤に怒涛の追い上げを見せ、3位に入った2019年シーズンの阪神。その原動力となったのは強固なリリーフ陣だろう。左の岩崎優、主に8回を任されたピアース・ジョンソン、そして守護神・藤川球児は鉄壁の存在だった。さらには島本浩也、守屋功輝、ラファエル・ドリス、能見篤史と投手陣が充実しており、救援の防御率2.70はセ・リーグトップの数字。中継ぎ陣に苦しんだチームが多い中、盤石な体制だったと言っても過言ではない。

ドリスとジョンソンについて、2020年シーズンの去就は現時点で不透明だが、その他の選手達はトレードがなければ残留の予定。矢野燿大監督はすでに藤川を来季の守護神に指名した。藤川は日米通算250セーブまであと7つに迫っており、松坂世代(1980年4月2日〜1981年4月1日生まれ)初の名球会入りとなるか注目が集まっている。

これだけの陣容である。中盤までにリードを奪えれば逃げ切れる、そう思わせてくれる中継ぎ・抑え投手陣だったのは間違いない。その逃げ切る展開を作るためにも、野手陣と先発投手陣の頑張りが必要になる。

4番として本塁打増加を狙う大山悠輔

野手陣ではルーキーの近本光司と木浪聖也は頑張ったものの、その他の選手たちは苦しんだ。とくに大山悠輔は、4番を開幕から任されていたが、後半戦で外されてしまった。全143試合に出場したものの、打率.258(538打数139安打)、14本塁打、76打点は4番としては少し物足りない。

本塁打の出にくい甲子園球場が本拠地とはいえ、主軸であり4番なら20本塁打は欲しい。打点76はチームトップでリーグ12位、得点圏打率.318はチーム2位でリーグ9位と悪くないけれども、あともう一皮剥ければ、といったところだ。

2019年シーズン、チームの中軸はベテランの糸井嘉男と福留孝介をはじめ、大山、ジェフリー・マルテ、糸原健斗らが担ったが、チームとしてはベテラン頼みからそろそろ世代交代を図りたい。リードオフマンとしては近本が1年目から頭角を現した。今度は主砲として大山が結果を残す番だ。

高奪三振率を誇る髙橋遥人

先発投手陣では、FAで加入した西勇輝が、途中勝ち星に恵まれない不運はあったものの、おおむね期待通りの働きをした。チームで唯一の2ケタ勝利をマークし、ローテーションを1年間まっとうした。2番手としては青柳晃洋が自身初めてとなる規定投球回に到達。2020年シーズン以降につながる投球を見せてくれた。

そんな西や青柳に続く存在として期待がかかるのが左腕の髙橋遥人である。2019年シーズンは19試合の登板で3勝9敗、1ホールドと6つの負け越し。防御率3.78は極端に悪いわけではない。しかし、勝ち星がついてこなかった。

109.2回を投げ、奪った三振は125。奪三振率(1試合に何個の三振を奪うかを表す指標)は10.26と高く、シーズン中、チームで1試合でも先発した投手ではトップだ。その数値は、5試合以上に先発したなかで、髙橋に次ぐ奪三振率の望月惇志(7.47)や岩貞祐太(7.36)と比べても大きく上回っている。三振を奪う力は一級品ということだ。

当たり前ではあるが、三振を奪える投手の価値は高い。秋季キャンプでは、山本昌臨時コーチにチェンジアップの握りを教わったという。空振りを奪いやすいチェンジアップを開幕までにものにできれば、武器が一つ増えることとなるので、ますます奪三振率が上がりそうだ。

新たな武器を手に、2020年シーズンは先発ローテーション投手として1年をまっとうしたい。

※数字は2019年シーズン終了時点