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V奪回を目指す広島は田中広輔の復調と遠藤淳志の飛躍に期待

2019 12/2 06:00勝田聡
広島東洋カープの遠藤淳志ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

會澤翼、野村祐輔が残留

2019年シーズン、広島はセ・リーグ4連覇を逃しただけでなく、クライマックスシリーズ出場も果たせなかった。その責任を取る形で緒方孝市監督が辞任。佐々岡真司監督体制が発足し、すでに動き出している。

まず、このオフは国内FA権を取得した會澤翼、野村祐輔、菊池涼介の去就が注目されていた。菊池がポスティングシステムを用いてMLBへの移籍を目指すものの會澤と野村は残留。戦力の流出を最小限に食い止めることができたのは明るい材料だろう。また、すでに外国人選手の獲得も行っており、2020年シーズンのV奪回へ向け、着々と準備を進めている。

そのV奪回のためには既存戦力の底上げも、もちろん必要だ。投打ともに2020年シーズンの鍵を握りそうな選手を取り上げてみた。

タナキクマル最後のひとりとして・田中広輔の復調に期待

広島はドラフト1位の小園海斗が1年目から58試合に出場し、打率.213(188打数40安打)、4本塁打を記録した。高卒1年目の遊撃手がこれだけの出場機会を得て結果を残すことは稀。2年目以降にも大きな期待をかけられている。しかし、手放しで喜んでばかりはいられない。小園が出場機会を得るきっかけとなったのは、田中広輔の不振があったからだ。

「タナキクマル」として菊池涼介、丸佳浩(現・巨人)とともに2016年シーズンからのセ・リーグ3連覇に大きく貢献した田中。2019年シーズンも、もちろん開幕スタメンで起用されていた。その開幕戦から4試合連続安打を放つ、絶好のスタートを切る。しかし、その後は思うような結果を残すことができない。6月20日には連続フルイニング出場が635試合で途切れ、翌6月21日には、連続試合出場にも終止符を打つことになった。

以降も調子が上がることはなく、8月に登録抹消されそのままシーズンを終えることとなる。その際にひざの手術を受けているが、順調に回復し来春のキャンプは参加できる見込み。また、チームの選手会長に就任。2020年シーズンはレギュラー奪回へ向け、大事な年となる。小園の成長が著しいと言っても、まだ来年は高卒2年目。チームも田中の復調を待ち望んでいることは間違いない。

丸が移籍し、菊池もポスティングシステムの利用で退団することが濃厚。「タナキクマル」、最後のひとりとしてチームを引っ張っていく。

佐々岡真司新監督も期待する遠藤淳志

広島は大瀬良大地、クリス・ジョンソン、野村祐輔、床田寛樹、九里亜蓮と先発ローテーションになりうる投手は豊富に揃っている。そこにドラフト1位で即戦力候補の森下暢仁(明治大)も加入した。さらにはアドゥワ誠や山口翔ら若手投手も2019年シーズンに一軍での出番を増やしてきたのも心強い。6人の先発ローテーション枠を多くの投手で争うことになりそうだ。

その争いに割って入ることを期待されているのが、2017年ドラフト5位で霞ヶ浦高校から広島に入団した遠藤淳志である。高卒2年目となった2019年シーズン、遠藤は一軍デビューを果たすと34試合に中継ぎとして登板。1勝1敗1セーブ、6ホールド、防御率3.16と結果を残した。秋季キャンプでも紅白戦で2回2安打無失点と結果を残し、猛烈アピールを行っている。

佐々岡真司新監督も「遠藤、山口には先発枠に入ってほしい」と檄を飛ばしており、中継ぎから先発への転向は確実な状況だ。まずは春のキャンプ、オープン戦で結果を残し、開幕ローテーション入りを掴むことが目標となる。チームでは高卒の先発ローテーション投手は前田健太(現・ドジャース)以来不在。二軍、そして中継ぎとホップ・ステップしてきた遠藤が、3年目の2020年シーズンにジャンプすることができるか。

※数字は2019年シーズン終了時点