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小園や根尾はどうなる? 遊撃手からコンバートされて開花したのは?

2019 11/28 17:00勝田聡
広島カープの小園海斗ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

小園海斗と根尾昂にコンバートの可能性

このオフ、広島の菊池涼介がポスティングシステムを用いて、MLBへの移籍を目指している。広島にとってレギュラーの二塁手が抜けるのは大きな痛手となるのは間違いない一方、菊池の後釜をめぐりチーム内での競争が進むことで、戦力が底上げされる可能性も十分にある。

その後釜候補のひとりが2018年ドラフト1位の小園海斗だ。本来、小園の守備位置は遊撃であり、2019年シーズンも一軍では遊撃以外の守備についていない。しかし、みやざきフェニックス・リーグでは二塁の守備についており、来るべきときに備えている。思えば菊池も遊撃からのコンバートで二塁を守っていた。

小園と同じ2018年のドラフトで中日に入団した根尾昂は、アジアウインターリーグで外野として起用されている。「一軍での出場機会を得るために、外野への挑戦を続けていきたい」と契約更改後の会見でコメントしており前向きだ。

小園も根尾も現時点で完全なるコンバートというわけではないが、遊撃から二塁をはじめとした、その他のポジションへの転向は珍しくない。

山田哲人も入団時は遊撃手

日本が優勝したプレミア12の決勝戦で、起死回生の3点本塁打を放ったヤクルトの山田哲人も、履正社高校時代は遊撃手だった。

2010年のドラフトでヤクルトに入団後、3年目の2013年までは遊撃手として出場したが、2014年以降は完全に二塁へとコンバートされている。守備の負担が減ったことが、打撃で好成績を残し続けている理由の一つかもしれない。同じヤクルトでは、2015年の首位打者である川端慎吾も、プロ入り後に遊撃から三塁へとコンバートされている。

福留孝介(阪神)はプロ入り当初、中日で遊撃手としてプレーしていた。4年目となる2002年から本格的に外野へ転向。その年に自身初となる首位打者を獲得した。同じメジャーリーガーでは、プロ入り後にオリックスで遊撃手から外野手へと転向、飛躍を遂げて海を渡り、メジャーリーグ2度の世界一に輝いた田口壮(現・オリックス野手総合兼打撃コーチ)も有名だ。

松井稼頭央(現・西武二軍監督)は、MLB移籍後に遊撃から二塁へとコンバートされた。日本にもどり楽天に入団した後には外野も守った。松井はPL学園高校時代、投手だった。西武にドラフト3位で入った後、遊撃手になり、二塁手、そして外野手へと役割を変えていったのである。



陽岱鋼や梶谷隆幸も遊撃手からのコンバート組

その他では陽岱鋼(巨人)や梶谷隆幸(DeNA)、金子侑司(西武)も遊撃から外野へのコンバート組だ。このオフにFA宣言をした鈴木大地(ロッテ→来季楽天)と福田秀平(ソフトバンク→来季ロッテ)も入団時は遊撃手だった。

近年では、2018年にオリックスの宗佑磨が、春季キャンプ中に遊撃から中堅へとコンバートされ開幕スタメンを勝ち取った。

一方で現役晩年に守備範囲が狭くなってからのコンバートという例もある。ヤクルトの宮本慎也がそうだった。遊撃手として第一線で活躍したが、晩年は三塁に転向。そこでもさすがのグラブさばきを見せ、ゴールデングラブ賞を獲得した。

このように、遊撃手から他のポジションへのコンバートで花開いた選手が多くいる。小園や根尾が将来的にどのポジションでプレーするか楽しみであり、それがどこであっても、圧倒的な身体能力で才能を開花させることに期待したい。