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補強着々のヤクルト、2020年は廣岡大志と高橋奎二の飛躍にも期待

2019 11/29 06:00勝田聡
ヤクルト・廣岡大志(左)と高橋奎二ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

2015年GG賞・エスコバーを獲得

高津臣吾新監督体制となったヤクルトは、このオフに新外国人選手として2015年のアメリカン・リーグ、ゴールドグラバ−であるアルシデス・エスコバーの補強を行った。その他にも経験豊富な捕手として嶋基宏(前・楽天)、貴重な左腕として長谷川宙輝(前・ソフトバンク)もチームに迎え入れている。

また、国内FA宣言をした美馬学(楽天)の争奪戦にも参加。結果として獲得には至らなかったものの、最下位から上位浮上へ掛ける意気込みが伝わってくる。

また、ドラフト会議では奥川恭伸(星稜高)を1位指名。未来のエース候補が仲間に加わった。2位以下では大学生の投手を3名指名しており、投手陣の強化を重点的に行なった格好だ。

もちろん新戦力での上積みは、順位を上げるための重要な要素であることは間違いない。しかし、既存のメンバーたちの底上げももちろん必要だ。2019年シーズンからの底上げに期待したい選手を投打で取り上げたい。

初の2桁本塁打に到達した廣岡大志

野手陣では高卒2年目の村上宗隆が36本塁打で新人王に輝くなど大ブレイク。山田哲人も打率こそ3割には届かなかったが、本塁打と盗塁はともに「30」をクリアした。ウラディミール・バレンティンの去就が不透明ではあるが、村上と山田2人の並びは強力だ。

しかし、現時点で実績のある長距離砲と呼べる存在はこのふたりだけ。新外国人のエスコバーも本塁打を期待するタイプではなく巧打型であり、一発の魅力あふれる選手ではない。

そのなかで、次代の長距離砲候補として期待したいのが、廣岡大志である。未完の大器として毎年のように期待されている廣岡だが、ここまでレギュラーを奪うには至っていない。しかし、2019年シーズンは序盤こそ苦しんだが、後半戦で本塁打を量産し自身初となる2桁本塁打も記録した。

8月、9月の2ヶ月間で、34試合(96打数)に出場し8本塁打を放っている。これは本塁打率(1本塁打あたりに必要な打数)に換算すると12.0となり、バレンティンの12.42をも上回っている。もちろん、シーズンを通じてこの数字を残せる保証はないが、希望の持てる数字であることは間違いない。

現時点の陣容を見ると、遊撃、もしくは三塁での起用が既定路線になる。しかし、エスコバーに2019年シーズンは故障で離脱していた西浦直亨太田賢吾奥村展征とライバルは多い。さらには、村上もフェニックス・リーグでは三塁の守備位置についた。

高卒5年目となる2020年シーズン、廣岡は並み居るライバルたちとの争いを勝ち抜き、レギュラーの座を掴むことができるだろうか。

高卒5年目となる高橋奎二の奪三振率に注目

一方の投手陣ではエース小川泰弘がチームで唯一、規定投球回に到達した。しかし、5勝12敗、防御率4.57は物足りない。この小川の復活は大前提だが、それ以降に続く若手投手の台頭が求められる。

なかでも期待されるのが左腕の高橋奎二だ。2019年シーズンは小川(26試合)、石川雅規(23試合)に次ぐチーム3位の19試合に先発。キャリアハイとなる4勝(6敗)をマークし、飛躍の一歩手前まできたと言っても過言ではない。高橋の売りは奪三振率(1試合に何個の三振を奪うかを表す指標)の高さにある。

高橋は95.1回を投げ99奪三振と奪三振率は9.35。1回に1個以上の三振を奪う計算だ。これはチームの先発投手(10先発以上)では高梨裕稔についで2位の数字。また、セ・リーグの規定投球回到達者でも奪三振率が9を超えているのは、山口俊(巨人)と今永昇太(DeNA)の2人しかいない。

少し気は早いが、しっかりと先発ローテーションを回ることができれば、最多奪三振のタイトルも夢ではない。

高橋も廣岡も2020年が高卒5年目のシーズンとなる。まずは1年間、一軍で戦力となり、チーム内での地位を確立させたい。若い力が育てば、自然とチーム力は上がってくる。

※数字は2019年シーズン終了時点