プロ8年目に3部門でキャリアハイをマーク

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シーズン終了後、ロッテから国内FA権を行使した鈴木大地。プロ8年目の今季は打率、本塁打、打点の打撃3部門でキャリアハイをマークした。2014年から4年間でチームのキャプテン、今季は選手会長を務めるなど、高いリーダーシップにも定評がある。今回はそんなFA市場の目玉選手にスポットライトを当てたい。

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今季の打席での内容を見ると、過去3年に比べてスイングしたときに空振りする確率が上がっていた。ロッテの一軍打撃コーチを担当した大村巌は「空振りでも強く、積極的なスイングならOKという雰囲気をつくってきた。思い切りがなければ、本塁打は打てない」とシーズン中に語っており、鈴木もより力強いスイングをするため、打席でのスタイルを変えたことがうかがえる。
環境面が打撃成績向上の後押し

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そうしたスタイルチェンジが功を奏し、追い込まれる前の打撃成績が飛躍的に向上した。本塁打数は近年と比べて倍増しており、長打につながる強い打球が増えたと考えられる。また、鈴木はZOZOマリンに今季から新設されたホームランラグーンへ4本のアーチを描いているが、いずれも0・1ストライク時から打ちにいってのもの。環境面も打撃成績の向上を後押しした。

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加えて、今季は守備でも新たな挑戦をしている。新加入のレアードが開幕から三塁のレギュラーで起用された影響もあり、プロ入り後では初となる一塁や外野を経験。近年はチーム状況に合わせ、毎年のように定位置を変えているが、今季は5つのポジションをこなしながら、年間でわずか2失策とユーティリティーぶりを発揮した。
高い打力とユーティリティー性を両立した成績

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そんな今季の鈴木は珍しい記録を残した。過去20年、5つ以上の守備位置についた選手で2ケタ本塁打を記録したのは、上記の3名のみ。高い打力とユーティリティー性を両立した成績は、数字以上にチームを支えたといえるだろう。
順調満帆なシーズンを送ったように見える鈴木だが、実は開幕戦では出場すらできていない。そこから長打力を向上させ、ポジションを転々と移ることで出場機会を勝ち取った。彼ならば、来季どんな環境を選んだとしても高い適応力を生かしてチームの柱となるに違いない。
※文章、表中の数字はすべて2019年レギュラーシーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:川畑 賢太郎