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選手分析 ~広島 #63 西川龍馬~「独自スタイルを貫く天才肌」

広島東洋カープの西川龍馬ⒸSPAIA
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今季、初めて規定打席に到達

通算:年度別打撃成績

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慣れない外野手への挑戦から始まった西川龍馬の2019年。高い打力を買われて後半戦から1番に定着すると、8月には球団記録に並ぶ月間42安打をマークするなど、丸の移籍で不安視されたセンターのレギュラーを一気につかみ取った。そんな西川のバッティングには、どのような特徴があるのだろうか。初めて規定打席に到達した今季を考察したい。

2019年:カウント別のボールゾーンスイング率

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西川の特異な点として、追い込まれた後はアプローチが変化することが挙げられる。浅いカウントではボールゾーンスイング率がリーグ平均を下回っているのに対し、2ストライクになるとその割合は大幅に悪化する。本人は「見逃し三振だけはしたくない」と語っており、追い込まれてからゾーンを広げているようだ。

とはいえ、62.4%という数字はリーグワースト。追い込まれた中でこれだけのボール球を振ると、自らの首を絞めることになりかねない。

リーグトップクラスのコンタクト率

2019年セ・リーグ:2ストライクのボールゾーンコンタクト率ランキング

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そこで注目したいのが、西川のバットコントロールだ。2ストライクからのボール球に対するコンタクト率は、リーグトップクラス。空振り三振のリスクを負いながらも果敢にスイングを仕掛ける独自の打撃スタイルは、この並外れた技術があってこそのものだろう。

独特の感性を持った打撃スタイル

2019年セ・リーグ:2ストライクの打率ランキング

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実際に、こうしたアプローチは結果にも結びついている。2ストライクからの打率はリーグ3位の数字を記録。上位に名を連ねたほかの4選手のなかで、2ストライクからのボールゾーンスイング率が50%を超えた選手はいない。ボール球の6割以上に手を出しながらも西川が残したこの結果は、高い打撃能力の一端を示している。

19年のセ・リーグ首位打者に輝いた鈴木誠也をして、「天才」と言わしめる西川。今季はわずかに届かなかったが、規定打席に到達しての打率3割も十分狙える位置にいる。独特の感性を持った打撃スタイルで、今後どこまで成長していくのか。西川の歩みを追い続けたい。

※文章、表中の数字はすべて2019年レギュラーシーズン終了時点

企画・監修:データスタジアム
執筆者:大島 甲子郎