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パ屈指のIsoDとBB/K、日本ハム・近藤健介にプレミア12でも高出塁率期待

2019 11/5 06:00浜田哲男
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打撃不振に陥りながらも、最終的に3割

日本ハム・近藤健介は今季、自己最多の138試合に出場した。打率.302をマークし、出塁率.422で自身初となる最高出塁率のタイトルを獲得。チームはリーグ5位と低迷したものの、高度な打撃技術と優れた選球眼で一定の成績を残し、存在感を示した。その活躍が認められ、11月5日にベネズエラとの初戦に臨むプレミア12の日本代表にも選出。打撃での貢献が期待されている。

プロ入り4年目の2015年に打率.326、出塁率.405の好成績を残してブレイクすると、2017年にはシーズン途中で離脱し57試合の出場にとどまるも、打率.413、出塁率.567という驚異的な数字を残し、初の4割打者誕生の期待も高まった。以降も2018年は打率.323、今季は打撃不振に陥る時期がありながらも最終に3割に乗せてくるあたりは、確固たる技術が備わっている証だろう。対戦相手として見た時にはこれほど嫌らしい打者はいないし、味方であればこれほど心強い打者はいない。

打ち取ることが困難

近藤がいかに優れているかは、セイバーメトリクスの各指標をみると明らかだ。四死球によってどれだけ出塁したかを示すIsoD(出塁率-打率)はリーグ2位の.120。三振が少なく四球が多い打者であることを示すBB/K(四球数÷三振数)は、リーグトップの1.27。これらの数値だけをみても、近藤がいかに打ち取ることが困難な打者であるかがわかる。

優れた選球眼で際どい球を見極め、ストライクゾーンの球は直球、変化球関係なくヒットゾーンに運ぶか、カットする。2ストライクと追い込まれても常に冷静で対応力が高く、狙い澄ましたようにヒットを打ち、狙っているかのように四球を選ぶ。プロ入り後、二桁本塁打をマークしたことはなく、今季も2本塁打と一発は少ないが、それを補って余りあるバットコントロールがある。

球種別の打率をみても、特に苦手な球種はなく、どんな球種でも満遍なく打つ。直球に対する打率が.305であるとともに、緩い変化球のカーブに対する打率も.308と高い。また、ツーシームには滅法強く.512のハイアベレージを残している。投手の左右も苦にしておらず、対右投手の打率は.290、対左投手の打率は.329と、むしろ左投手の方を得意とする傾向が出ている。

侍ジャパンでも心強い戦力に

今回のプレミア12のメンバーで特長的なのが、ジョーカー的役割を求められている選手が選出されていることだ。例えば周東佑京(ソフトバンク)はチームではレギュラーではないが、ここぞという場面の守備と走塁、特に代走での活躍を期待されて選出されている。

枠の問題があるため、複数ポジションを守れるユーティリティープレーヤーが重宝されるのは必然的な流れだが、打撃に秀でた才能を持つ近藤のようなプレーヤーは、スタメンはもちろん代打の切り札、ここぞの打のジョーカーとしての役割も期待できる。出塁率も高く、1点を争う緊迫した場面の多くなる国際大会では非常に心強い戦力となりうる。

近藤は、2017年秋に開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップの日本代表メンバーに選出されており、3番打者として日本のアジア制覇に貢献している。初戦の韓国戦で3安打を放つと、チャイニーズ・タイペイ戦では2安打、決勝の韓国戦でも2安打をマークし、計12打数7安打と打ちまくった。当時はU-24世代からの選出だったが、近藤の打撃技術をもってすれば、侍ジャパンのトップチームでも常連となれる力は十分にある。プレミア12での近藤の打撃には要注目だ。