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期待の若手・高田萌生に馬場皐輔 セ・リーグ各球団の二軍最多投球回投手たち

2019 11/4 06:00勝田聡
馬場皐輔ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

巨人も先発投手に苦しむ

2019年シーズン、セ・リーグは巨人が5年ぶりの優勝を果たし幕を閉じた。坂本勇人や丸佳浩、岡本和真といった打線の軸がしっかりと役割を果たし、投手陣では山口俊が三冠を達成。まさに投打が噛み合っての優勝に見える。

しかし投手陣、とりわけ先発投手においては盤石ではなかった。山口こそキャリアハイの成績を残したものの、菅野智之は初めて規定投球回に到達せず、メルセデスや高橋優貴はなんとか結果を残したが、シーズンを通して安定した投球を見せることはできなかった。そういった事情もあり、高卒ルーキーの戸郷翔征がシーズン終盤から大抜擢されたわけだ。また、楽天からFA宣言した美馬学の調査も進めていると報道が出た。チームとしても現在の先発投手をさらに強化しようと考えているのである。

そんな中、二軍では高田萌生が多くのチャンスを与えられ、最多投球回を投げた。2020年シーズンは二軍ではなく、一軍のローテーション争いに加わってほしいところだろう。

2019年シーズン、その他のセ・リーグの二軍ではどのような投手達にチャンスが与えられたのだろうか。振り返ってみたい。

DeNA中川虎大は支配下を勝ち取る

巨人は前述した通り、高田が108.1回でチーム最多投球回となった。そのなかで6勝6敗、防御率2.99とまずまずの数字を残している。一軍では先発、中継ぎともに1試合ずつに登板。先発時は4回3失点と結果を残せなかったが、中継ぎでは1回無失点、奪三振2と好投した。チームは先発、中継ぎともに手薄なだけに、高卒4年目となる2020年こそ一軍定着を果たしたい。

セ・リーグ各球団の最多投球回投手ⒸSPAIA

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DeNAは育成契約からシーズン途中に支配下登録された中川虎大が104回を投げた。リーグ唯一の2ケタ勝利をマークし、最多勝と最優秀防御率のタイトルを獲得している。二軍とはいえ、実績を残したのは大きな財産となるはずだ。しかし、一軍では3試合に登板するも計3失点、防御率5.40と苦しんだ。チームは大卒のドラフト上位投手がローテーション投手を占めており、高卒で育成されてきた感のある選手は不在。そのような中で一軍定着となるか。

阪神は2017年ドラフト1位の大卒2年目、馬場皐輔がローテーションを守った。5勝7敗と負け越したものの、防御率3.17と結果を残している。K/9(1試合に何個の三振を奪うかを表した指標)は7.74とまずまずの数字。しかし、本来であれば一軍で投げることを期待されている投手。2年間で一軍では4試合しか登板していない。2020年シーズンはプロ初勝利を狙いたい。

Bクラス3チームは外国人投手とベテランが最多投球回

広島は新外国人投手のケーシー・ローレンスに投球回数を割り振った。クリス・ジョンソンやその他の外国人投手が故障や不振の際に一軍での登板が期待されたが、その機会はほとんど訪れなかった。

二軍ではBB/9(1試合に何個の四球を与えるかを表す指標)こそ1.28と優秀だが、防御率は4点台半ばと苦しんだ。一軍では1試合のみの登板で5回6失点と試合を作れておらず、2020年シーズンの契約は現時点で未定。その去就が注目される。

中日は吉見一起が最もイニング数を稼いでいる。(※シーズン途中に移籍してきた松葉貴大が2球団トータルでは最多となるが、中日に移籍後の数字のみでカウント)

吉見は一軍で5試合に登板したものの、わずか1勝。防御率6.41と結果を残すことができていない。しかし、二軍ではBB/9が1を切り0.87と高水準。まだまだ二軍では別格の存在となっている。

吉見がこれだけのイニング数を投げているが、若手に出番を与えていないわけではない。高卒2年目の山本拓実は吉見に次ぐ72.2回、同じく高卒2年目の清水達也も60.2回とチャンスは与えられている。また、両投手ともに一軍での起用も多かったため、二軍での数字が伸びなかったのである。とくに山本は後半戦でローテーションを任されており2020年シーズンも二軍ではなく、一軍が戦場となりそうだ。

ヤクルトも中日同様、34歳のベテラン・山中浩史が二軍で最もイニング数を稼いでいる。また、山中に次ぐイニング数を投げたのが引退した館山昌平で、明らかにベテランの登板が多かった。近年加入した若手では、2018年ドラフト1位の清水昇が14試合の先発で90.1回を投げているのが目立つのみ。若い投手に登板機会を与えることが思うようにできなかったようだ。

2019年のドラフトでは投手を4名獲得した。一軍での戦力として期待されているが、二軍での登板機会も多いはずだ。ベテラン偏重から若手の育成に舵を切りたい。

セ・リーグ各球団の二軍で最多投球回を誇る投手を見ると、Bクラスの3チームは若手ではなく、外国人やベテランが名を連ねている。チームが低迷した直接的な要因ではないが、若い投手にイニング数を与えられなかったことは、後々響いてくるかもしれない。

2020年シーズンは2019年シーズンに二軍で登板機会の多かった選手が、一軍で活躍できるだろうか。