「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

野村祐輔が残留を表明、2011年「大学BIG3」の今

2019 11/1 06:00勝田聡
広島東洋カープの野村祐輔ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

野村が広島残留を表明

シーズン途中に国内FA権を取得し、オフの動向に注目されていた野村祐輔(広島)が広島残留を表明。これまでの8年間で通算71勝を挙げた右腕がチームに残ることが、佐々岡真司新監督にとって、この上なく大きいことなのは想像に難くない。すでに残留を表明した正捕手の會澤翼とともに、チームの柱として期待しているはず。

2011年のドラフトで、広島から1位指名されプロ入りした野村。当時、野村は明治大学に所属しており、東海大学の菅野智之(現・巨人)、東洋大学の藤岡貴裕(現・巨人)とともに「大学生BIG3」と呼ばれ、大きな注目を浴びていた。

ドラフトでは、ロッテ、横浜、楽天の3球団が藤岡に入札し、抽選の末ロッテが交渉権を獲得。原辰徳監督の甥である菅野は巨人の単独指名が予想されていたが、日本ハムも入札。抽選であたりを引き当てたのは日本ハムだったため、入団を拒否した菅野は1年間の浪人生活を送ることに。そして、残る野村を広島が一本釣り。三者三様のドラフト会議だった。

野村、菅野ともに今シーズンは苦しむ

これまでの野村の成績を振り返ると、シーズンによって激しく浮き沈みがあるように思える。

広島に入団後は1年目からローテーションを任され、新人王を受賞。2年目となる2013年には初の2ケタ勝利となる12勝をマークし、順風満帆にプロ野球人生を歩み始めていた。ところが故障や不振で伸び悩み、2014年は7勝、2015年は5勝と不甲斐ない成績が続く。

2016年にようやく最多勝と最高勝率のタイトルを獲得し、優勝に貢献。これで復活したかと思われたが、再び成績は下降。そして、今シーズンも6勝5敗、防御率4.06と結果を残すことができなかった。

既に30歳の野村は再び先発の柱へ返り咲くことはもちろん、同じ明治大学の後輩である森下暢仁ら若手投手たちのよきお手本になることが求められている。

お手本にならなくてはいけないのは、菅野も同様だ。1年の浪人期間があったにもかかわらず、これまで87勝と野村を大きく凌いでいる。今シーズンからは巨人の背番号「18」を背負い、一層の飛躍が期待された。しかし腰痛による登録抹消もあり、プロ入り後初めて規定投球回に未到達。日本シリーズでは7回途中4失点で敗戦投手となってしまったうえ、その試合でソフトバンクの日本一が決定。

今や、巨人のエースというだけではなく球界を代表する投手に成長した菅野は、プロ・アマ問わず投手のお手本であり、球界を引っ張っていくことが求められているのである。

藤岡は巨人に移籍してから登板なし

一方の藤岡はもがき続けている。4球団競合のドラフト1位投手として大きな期待をかけられたが、結果を出すことができず低迷。入団したロッテから日本ハムを経て、今シーズン途中からは巨人でプレーしている。だが、巨人で登板機会は訪れず、今シーズンの登板は日本ハム在籍時の2試合のみ。結果を出すことができていない。

二軍で結果を出し一軍へ昇格できたとしても、今度は出番を掴まなくてはならない。そのため、野村や菅野よりもやるべきことが多く道のりは険しい。それでも、諦めることなく若手に混じってフェニックス・リーグに参加しているのは、他の2人には実績で叶わないということもあってか、来シーズンへ向ける意気込みが3人の中で1番強いからかもしれない。

入団時と比べ、立場が大きく変わった野村、菅野、藤岡の「大学生BIG3」だが、それぞれが1年でも長く現役でプレーし続けて欲しい。