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藤浪晋太郎は復活なるか? フェニックス・リーグで見せた光と影

2019 10/29 17:00勝田聡
阪神_藤浪晋太郎投手_ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

フェニックス・リーグでは11回無失点も…

2012年ドラフト1位で阪神に入団した藤浪晋太郎が苦しんでいる。大阪桐蔭高校時代にエースとして、森友哉(現・西武)らと甲子園春夏連覇を達成。プロ入り1年目から2ケタ勝利をマークし、同学年の大谷翔平(エンゼルス)と双璧をなすほどの人気・実力を兼ね備えていた。しかし、ここ数年は結果を残せず低空飛行を続けており、今シーズン1軍ではプロ入り後ワーストとなる1試合のみの登板に終わってしまった。

そんな藤浪だが、フェニックス・リーグで復活の兆しを見せた。同リーグでは開幕から中継ぎとして6試合(7イニング)に登板し、無失点。与えた四球は3つだけと、制球難を改善しつつあった。あとは先発として長いイニングを同じように投げるのみ。期待を受け、10月26日に先発のマウンドへと送り出された。 だが、その試合で4回無失点と一見結果を残したかのように見えるが、死球こそなかったものの与四球9個と大乱調だった。球数も102球と明らかに多く、予定されていた5回を投げきれずに降板した。

結局、フェニックス・リーグ通算では11回無失点ながら、与四球12と制球難の改善に至らず。中継ぎとして短いイニングを投げていたときの良さが、先発では影を潜めてしまった。元中日の山本昌氏が臨時コーチを務める秋季キャンプで、再度修正が必要な状況だ。

<2019シーズン成績>
藤浪晋太郎(阪神)
1試合/0勝0敗/投球回4回1/3/奪三振3/与四球6/防御率2.08

西勇輝に続くローテーション投手が不在

阪神の先発投手陣は盤石な体制とは言い難い。長年にわたってチームを支えてきたランディ・メッセンジャーが今シーズン限りで現役を引退。実績があり、今シーズンも結果を残せたのは西勇輝だけである。

その他では青柳晃洋や髙橋遥人が頑張ったものの、まだ今シーズンの1年のみ。来シーズン以降も同じような活躍ができるかは未知数だ。その他にも岩貞祐太や秋山拓巳、残留濃厚なオネルキ・ガルシア、若手の望月惇志に才木浩人と先発「候補」は多数揃っているが、計算できるような存在はいない。

チームは昨年の最下位から、今季は終盤に怒涛の追い上げをみせて3位に滑り込み、クライマックスシリーズへ出場した。来季さらにその上の順位を目指すためにも、先発投手陣の強化は欠かせない。実際に、無償トレードでソフトバンクからベテランの先発右腕・中田賢一を獲得するなど、積極的な動きを見せている。

一方、ドラフトでは指名6人中、1位から5位までを高校生が占めた。即戦力より将来性を重視した結果からも、来シーズンは現有戦力の底上げが必須だ。

その底上げにあたる「藤浪の復活」がチーム力アップへ大きく寄与するのは間違いない。藤浪が秋季キャンプで土台を作り、春季キャンプ、オープン戦で結果を残せれば、先発ローテーションへの返り咲きも可能だ。高卒1年目から3年連続で2ケタ勝利を挙げたポテンシャルを再び見せてくれることに期待したい。

※数字は2019年シーズン終了時点