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球界屈指のバイプレーヤー福田秀平は移籍か残留か 決め手はスタメン機会?

2019 10/28 17:13勝田聡
福岡ソフトバンクホークスの福田秀平ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

走攻守揃った貴重な控え野手

ソフトバンクの3年連続日本一で幕を閉じた2019年のプロ野球。その翌日からはじまったFA権申請で、いの一番に書類を提出したのは福田秀平(ソフトバンク)だった。福田は移籍前提というわけではなく「決断できないから宣言した」とコメントしており、各球団の話を聞いてから総合的に判断するという。

内外野を守ることができる守備力と、山田哲人(ヤクルト)に破られるまで保持していた連続盗塁の日本記録を誇る脚力。そして、打撃も一軍レギュラークラスのモノを持っている。だが、これまではチーム事情や自身の怪我もあり、規定打席に到達したことは一度もない。打席数では2016年の239打席、試合数では110試合に出場した2018年がそれぞれ最多となっている。

今シーズンは80試合の出場で打率.259(166打数43安打)、9本塁打、26打点を記録。日本シリーズでも本塁打を記録している。少ない出場機会の中で、本塁打と打点はキャリアハイを更新した。ちなみに、本塁打率は18.4(166打数/9本塁打)で、打数の違いがあるとはいえチームメートの松田宣浩(17.8)や柳田悠岐(18.3)と遜色ない数字を残している。シーズンを通しレギュラーで結果を残したことはないものの、ある程度のパンチ力を兼ね備えていると見ていい。

とはいえ、昨シーズンオフの丸佳浩(広島→巨人)や浅村栄斗(西武→楽天)と比べると実績面で見劣りする感は否めず、リーグの戦力図を一変させるようなインパクトはない。しかし、複数球団による争奪戦が起ころうとしている。これは、福田の能力に魅力があるのはもちろんだが、補償のいらないCランクとみられていることも一因だろう。

西武、ヤクルト、中日、ロッテが興味

現時点で福田に対し交渉を行うと見られているのは、現所属であるソフトバンクを除くと、西武、ヤクルト、中日、ロッテの4球団。

西武では、秋山翔吾が海外FA権を行使してMLBへ挑戦することを視野に入れている。中堅のレギュラーが抜けることになれば、チームとして大きな戦力ダウンは免れない。また、秋山は5年連続フルイニング出場を果たしているため、次世代の育成が追いついていない。その点から見ても、福田は補強ポイントに合致する。

ヤクルトもウラディミール・バレンティンの去就が不透明。また青木宣親や雄平、一塁との併用ではあるが坂口智隆の主力選手も全員が35歳を超えており、年齢的な不安がある。塩見泰隆、山崎晃大朗、中山翔太、濱田太貴といった若い選手も育ちつつあるが、年間を通して戦った実績はない。次世代が育つまでの期間、福田で穴を埋めるという選択肢も悪くない。

中日は左翼のレギュラーが固定できなかった。ソイロ・アルモンテは故障があり、来シーズンの契約は不透明。一発のある福田永将や若手の伊藤康祐といった代役はいるものの、総合的な実力を見れば福田が欲しいところ。与田剛監督も「魅力的な選手」と語っている。

ロッテの井口資仁監督も、福田の外野だけでなく一塁や二塁を守れる部分を評価しているようで、参戦を表明。

福田自身、「どのチームも争いはあるが、頭(スタメン)から出たい」という希望を持っている。現在手を上げているチームに移籍した場合、現状よりも出場機会には恵まれそうではある。はたして球界屈指のバイプレーヤーである福田はどのような選択をするのだろうか。