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佐藤都志也、海野隆司はどうなるか 大学生・社会人の上位指名捕手の1年目を振り返る

2019 10/27 06:00勝田聡
ロッテに指名された東洋大・佐藤都志也Ⓒ大友良行
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Ⓒ大友良行

海野隆司と佐藤都志也が2位指名

10月17日に行われたドラフト会議では、海野隆司(東海大→ソフトバンク)と佐藤都志也(東洋大→ロッテ)の2人の大学生捕手が2位指名された。順位から考えても期待の大きさが分かる。

今夏に行われた日米大学野球選手権では海野が正捕手を務め、佐藤が一塁や外野の守備に回った。このことから、どちらかというと海野が守備型、佐藤が打撃型の捕手に分類されているようだ。2人ともドラフト2位という高評価を得ているだけに、「1年目からレギュラー」とはいかないにしろ、一軍で起用されることは間違いないだろう。

だが、大学や社会人出身で上位指名を受けた即戦力候補の選手でも、レギュラーや一軍で定着するには時間がかかる。そこで、2010年以降のドラフトで上位指名(1位・2位)を受けた捕手の1年目成績について、ここでは振り返ってみたい。

今季は太田光が55試合に出場

2010年から2018年までの9年間で、大学・社会人出身の捕手で1位もしくは2位指名を受けた選手は6名(1位1名、2位5名)。

昨年は、太田光(楽天2位)と頓宮裕真(オリックス2位)の2人が上位指名を受けた。太田は、交流戦中の6月7日に初めて一軍へ昇格。1ヶ月後に降格しているが、7月末の再昇格からシーズン終了までは一軍に帯同し、主に堀内謙伍と併用されながら55試合に出場。プロ初本塁打も記録し、順調に一軍での経験を積むことができた。

一方の頓宮は、入団後に内野手へ転向したため捕手としての出場はない。だが、シーズン中に捕手へコンバートされたので、来シーズンは捕手として初出場の可能性がある。

2017年のドラフト会議では岸田行倫(巨人2位)がプロ入りを果たしたものの、1年目に一軍出場を勝ち取るには至らなかった。

小林誠司も1年目は63試合のみ

2015年は、坂本誠志郎(阪神2位)が正捕手候補として入団。大学日本代表の主将を務めていた坂本だったが、レギュラーを勝ち取ることは出来ず26試合の出場に留まってしまう。本塁打は1本放ったが安打数が9本と少なく、戦力になりきることは出来なかった。

2013年は、阿部慎之助の後継者候補として大きな注目を浴びていた小林誠司(巨人1位)だったが、ルーキーイヤーの2014年には阿部が131試合(スタメンマスク104試合)、小林が63試合(スタメン29試合)の起用。後に日本代表入りも果たしたが、1年目は100試合にも到達しなかった。

小林と同じ2013年ドラフトでプロ入りした吉田裕太(ロッテ2位)は、50試合(スタメン39試合)に出場し、2番手捕手としての地位を確立しつつあった。まずまずの成績と言えるだろう。

上位指名された即戦力候補であろう捕手も打撃面では苦労し、1年目から一軍でレギュラーを張ることは難しいことがよくわかる。

別のポジションで同じく上位指名を受けた大学・社会人出身の選手は、即戦力として期待されることがほとんど。今シーズン結果を残した阪神の外野手、近本光司が好例だ。しかし、捕手は例外といえる。

方針はチームによって異なるだろうが、まずは二番手捕手として勉強しながら正捕手を目指すのがここ数年の定番のようだ。はたして海野や佐藤にはどのような起用法を用いるのだろう。「今年は豊作」と言われた大学生捕手たちの1年目に注目したい。

ドラフト上位の大学生・社会人捕手1年目成績ⒸSPAIA

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※数字は2019年シーズン終了時点