周東佑京がトップチームへ
今オフ、侍ジャパン日本代表は「WBSC プレミア12」に参加する。2015年に行われた前回大会では3位に終わっており、今大会では雪辱を果たしたいところだろう。
すでに日本代表メンバーは発表されており、そのなかで注目されているのが周東佑京(ソフトバンク)である。周東はソフトバンクでレギュラー格ではないものの、日本代表に選出された。
チームを率いる稲葉篤紀監督は攻撃のキーマンとして周東の足に期待しており、「周東の使いどころは試合の中の大事なポイントになる」とコメント。日本シリーズで工藤公康監督が、試合終盤に周東を代走で起用しチャンスを拡大させたようなイメージがあるのだろう。
周東は昨年のオフに侍ジャパンU-23日本代表として「WBSC U-23 ワールドカップ」に出場している。そのときの代表メンバーで、周東のようにトップチームへとステップアップした選手はいるのだろうか。まずは、どのようなメンバーが選出されていたのか振り返ってみたい。
種市篤暉は先発ローテーション入り
昨年のU-23侍ジャパン日本代表メンバーは下記の通り。
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U-23の日本代表ということもあり、メンバーには社会人の選手も含まれていた。そのため当時NPBに所属していた選手は24名中20名。オーバーエイジ枠は設けられておらず、全員が23歳以下で構成されている。
各球団の期待の若手であったことは間違いないが、今シーズンオフに戦力外通告(自由契約含む)を受けた選手もいる。10月22日現在で長井良太(広島)、山﨑颯一郎(オリックス)、高山竜太朗(巨人)、西巻賢二(楽天)、大河(DeNA)、岸里亮佑(日本ハム)の6名がそうだ。(山﨑、高山、西巻は他の球団との契約がなければ、育成契約として再契約の可能性もある)
一方、今シーズン一軍で結果を残した選手もいる。その筆頭格が高卒3年目となった種市篤暉(ロッテ)だろう。種市は開幕から中継ぎとして起用され結果を残すと、4月末からは先発へと配置転換されシーズンを全うした。
26試合(116.2回)の登板で8勝2敗2ホールド、防御率3.24と貴重な戦力になっている。来シーズンは開幕からのローテーション入りを期待されている存在だ。
堀内は正捕手獲りへ大きく前進
野手では堀内謙伍(楽天)が正捕手に大きく近づいた。今シーズンの堀内は65試合に出場したが、スタメンでの起用はチーム最多となる52試合だった。このオフにチームの象徴でもある嶋基宏が自由契約となった背景には、堀内の成長があったのである。
右肘の手術を受けることもあり秋季キャンプには不参加となるが、来春のキャンプには間に合う見込み。正捕手獲りを本格的に目指すことになる勝負のシーズンだ。
そして安田尚憲(ロッテ)である。高卒2年目となった今シーズンは一軍での出場がなく、二軍で汗を流し続けた。そのなかで打率.258(449打数116安打)、19本塁打、82打点の成績を残し、本塁打と打点の二冠王に輝いている。二軍とはいえ結果を残し、来シーズンへ向けての手応えを掴んだことだろう。
井口資仁監督も安田に対し、「来年は一軍で、という思いもある」とコメントしており期待は大きい。
このようにU-23日本代表として戦ったメンバーでも、周東のようにトップチームへと昇格する選手もいれば、戦力外となってしまった選手もいる。わずか1年で明暗が別れているのだ。
プロ野球の世界は厳しい、ということを改めて思い起こさせてくれる。周東はもちろん、その他の現役を続行する選手たちは1年でも長く活躍できることを期待したい。