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セ・リーグ007も「パの強さ痛感」56年ぶり日本シリーズ勝ち越し

2019 10/21 17:08楊枝秀基
ソフトバンク・柳田ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

ソフトバンク連勝で通算203勝202敗8分

プロ野球が時代の分岐点に直面している。2リーグ制を採用し1950年に第1回として始まった日本シリーズは今年で70回目を迎えている。

日本一になった通算回数はセ・リーグが35回でパ・リーグは34回。ここ10年ほどで振り返れば、ソフトバンクを中心とするパ・リーグが席巻している印象があるが、オールドファンからすればV9巨人のイメージが強いはずだ。

日本一回数で拮抗している両リーグは、通算勝利数も互角。19日から開幕した2019年日本シリーズはソフトバンクが地元のヤフオクドームで連勝スタートした。エース・千賀が史上3人目の日本シリーズ3年連続の開幕投手を務め、見事に白星をゲット。第2戦はアンダースローから140キロ台後半の直球を繰り出す2年目の高橋礼が、7回1安打無失点で同シリーズ初先発初勝利を挙げ、柳田にも待望の一発が飛び出した。

この結果、パ・リーグが日本シリーズ通算203勝202敗8分とし、56年ぶりに勝ち越している状況となった。

巨人V9でセ最大貯金24

パ・リーグは1950年の第1回日本シリーズで毎日(現ロッテ)が出場し4勝2敗で日本一。1962年に東映が優勝した時点で37勝37敗3分けのイーブンとなり、翌1963年第1戦で西鉄が巨人に勝って貯金1としたのが、最後の勝ち越しだった。

その後、1964年に南海が阪神を4勝3敗で下し再び44勝44敗3分けと並んだが、この後からセ・リーグが大きく勝ち越す流れとなる。1965年に巨人が3連勝を飾るなど4勝1敗で南海を撃破。以降、巨人が日本シリーズ9連覇を達成し、翌1974年の第1戦と第3戦で中日が勝利した時点で、セ・リーグが最大24勝の勝ち越しとなった。

1961年から1973年の13年間は巨人がV9を含む日本一11回という屈強ぶり。V9の9年間がパ・リーグとしては、日本一から最も遠ざかった時期となる。そこから46年の歳月が経過し、現在はパ・リーグの時代。2010年からの9年間でパ・リーグが8度の日本一(うちソフトバンクが6度の日本一)。一方のセ・リーグは2012年の巨人以来、史上最長となる6年間、日本一から遠ざかっている。

好投手のパ入団で相乗効果?

あるセ・リーグ所属チームのスコアラーは「表向きには言いづらいですが、交流戦でパ・リーグの強さを痛感します。高校からプロ入りした将来性のある投手、例えば松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大、大谷翔平、菊池雄星のような存在が圧倒的な結果を出し、それを攻略しようと打者のレベルも上がった。その蓄積が今の結果になっているんでしょうかね」と分析する。

連勝発進のソフトンバンクは日本シリーズ記録を更新する本拠地14連勝と勢い十分。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦からの8連勝は同一年のポストシーズン新記録とした。

本拠地14連勝ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


第3戦からは舞台を東京ドームに移して3連戦が行われる。2000年の「ON対決」では王ダイエーが2連勝の後、長嶋巨人が4連勝して日本一に輝いた。ソフトバンクがこのまま押し切り、19年前の雪辱を晴らすのか、巨人が本拠地で盛り返すのか、見どころは尽きない。