今後はチームスタッフへ転身
西武の大石達也が戦力外通告を受けた。現役を引退し、今後は自身の当たりくじを引いた渡辺久信GM(当時は監督)のもと、「ファーム・育成グループ」のスタッフとしてチームに関わっていくという。
早稲田大学出身で、斎藤佑樹(日本ハム)や福井優也(広島)と同級生の大石。2010年ドラフト会議ではこの2人を凌ぎ、6球団から入札があった。しかし、入団後は思うに成果を残せず、今シーズンはわずか2試合の登板で防御率15.43と苦しみ、9年間の現役生活は132試合に登板、5勝6敗8セーブ、12ホールド、防御率3.64という成績に終わった。6球団競合のドラフト1位としては、物足りない数字だったことは否めない。
当時、大石に入札した西武以外の5球団が1位指名で獲得した選手は、ここまでどのような成績を残しているのだろう。
大石は6球団競合
2010年のドラフト会議で大石に入札したのは西武、横浜(現DeNA)、楽天、広島、オリックス、阪神の6球団だった。あたりくじを引いた西武をのぞく5球団が最終的に獲得した1位指名選手の一覧が下記の表となる。

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JFE東日本の須田幸太を獲得した横浜。須田も早稲田大出身だったため、このドラフト会議では1位指名選手のうち4名もの選手が早稲田大OBだと話題になった。1年目から先発として17試合に登板した須田は、その後も先発として起用されていたが、2014年から中継ぎに転向。2016年には62試合の登板で23ホールドをマークした。しかし、2018年シーズン終了をもって戦力外に。今シーズンは古巣であるJFE東日本に戻り、都市対抗野球では橋戸賞も受賞している。
楽天が獲得した左腕・塩見貴洋は、1年目から9勝を挙げローテーション入りしている。故障も多く苦しんではいるが、ここまで42勝をマーク。今シーズンも離脱期間があるものの、3勝を挙げチームのAクラス入りに貢献した。
塩見とチームメートである福井優也も、いわゆる大石の外れ1位だった。入団した広島では2011年に8勝、2015年に9勝をマークしている。しかし、その後は結果が出ず、2018年オフに楽天へトレード移籍。今シーズン開幕直後にローテーション入りを果たしたが、以降は二軍暮らしが続き、完全復活とはならなかった。だが、前半戦の手応えはあったはずだ。
榎田大樹は西武へ移籍し復活
大石、伊志嶺翔大(ロッテ)、山田哲人(ヤクルト)と続けてくじを外してしまったオリックスが獲得したのが、高校生野手の後藤駿太だった。プロ入り後は、守備面での評価は高いものの打撃面では苦しんでおり、レギュラーを奪取するには至っていない。しかし、2018年の33試合から今シーズンは91試合に出場試合を伸ばしている。
阪神は東京ガスの榎田大樹を獲得。1年目から62試合に登板するなど中継ぎとしてフル回転したが、2015年以降は結果を残せなかった。しかし、2018年シーズン開幕直前に西武へ移籍すると、先発として復活。自己最多となる11勝(4敗)をマークし、リーグ優勝に大きく貢献した。
抽選で大石を外したチームが、それぞれに獲得したドラフト1位選手たち。1位指名だからといって必ず結果を残せるわけではなく、多くの選手は苦しみを経験している。その結果、再び這い上がる者もいれば違う道を選ぶ者もいる。今後は、プレーヤーではなくチームスタッフとして球団に残ることを決めた大石に期待がかかる。