かつては球界を席巻したPL学園高校OBたち
9月29日、根尾昂(中日)が満員の甲子園球場で一軍デビューを飾った。守備では併殺を完成させ落ち着いたプレーを披露したものの、初めての打席ではピアース・ジョンソンを前に3球三振。初安打はお預けとなった。
球界には、根尾と同じく大阪桐蔭高校の出身者が多くいる。今シーズンは森友哉(西武)が、捕手という過酷なポジションながら首位打者に輝いた。その他、森とチームメートの中村剛也(西武)が打点王を獲得し、浅村栄斗(楽天)も移籍1年目から33本塁打を放つ活躍をみせている。チームの顔とも言える平田良介(中日)や中田翔(日本ハム)もそうだ。まさに、現在のプロ野球界で一大勢力となっていると言っても過言ではない。
このように大阪桐蔭高校OBが猛威を振るう前は、同じく大阪府にあるPL学園高校のOBが球界を席巻していた。桑田真澄(元・巨人ほか)や清原和博(元・オリックスほか)、立浪和義(元・中日)、松井稼頭央(現・西武二軍監督)など名前をあげればきりがない。しかし、暴力事件が明るみになり徐々に低迷。2016年夏に休部となったため、現在現役の選手は残り少ない。
福留は球界最年長になることが濃厚
2019年シーズン、NPBで現役選手のPL学園高校OBは5人。福留孝介(阪神)、今江年晶(楽天)、小窪哲也(広島)、吉川大幾(巨人)、中川圭太(オリックス)だ。MLBでは前田健太(ドジャース)がプレーしている。
規定打席には到達しなかったものの、42歳で最年長の福留は主力としてチームを引っ張った。来シーズンも現役続行が既定路線となっており、まだまだ戦力としての期待は大きい。また、上原浩治(巨人)と福浦和也(ロッテ)が現役を引退したことで、来シーズンは球界最年長選手になると思われ、チームだけではなく球界を背負う存在にもなる。
一方、今江、小窪、吉川はそれぞれのチームで、レギュラー格として貢献することはできなかった。特に今江と小窪は30代半ばという年齢から考えて、1年1年が勝負になってくるはず。吉川は自打球による骨折があり、昨シーズンの97試合から大きく出場数が減り、わずか10試合の出場にとどまっている。各選手、巻き返しを図りたいところだろう。
オリックス中川圭太が躍進
今シーズンは不本意な1年となった選手が多かったPL学園高校のOBたちだが、中川は違った。
中川はPL学園高校を卒業後、東洋大を経て2018年ドラフト7位でオリックスに入団したルーキーだ。東洋大の同期に甲斐野央(ソフトバンク1位)、上茶谷大河(DeNA1位)、梅津晃大(中日2位)とドラフト上位指名選手が多かったこともあり、入団時の注目度は決して高くなかった。
しかし、4月20日に初めて一軍昇格を勝ち取ると、そのままシーズン終了まで帯同を続け111試合に出場。セ・パ交流戦では新人として史上初となる首位打者を獲得した。年間を通じて規定打席には到達しなかったものの、レギュラーに準ずる扱いを受け大きく成長した1年だったことに違いない。来シーズンもレギュラー争いに加わることになりそうだ。
大阪桐蔭高校の前に球界の中心にいたと言っても過言ではないPL学園高校のOBたち。現在も休部状態は続いており、今後後輩たちがプロ入りを果たすことはないかもしれない。しかし、まだまだOB選手たちは現役でプレーを続けている。
ベテラン、新人、主力、サブと立ち位置、役割は違えど、それぞれの舞台で輝きを放ってくれるはずだ。