中日は若手投手たちが成長も松坂は苦しむ
今シーズンの中日は5位に沈んだが、明るい話題も多かった。特に投手陣では、昨シーズン未勝利だった大野雄大が復活を遂げ、柳裕也が初の2ケタ勝利を達成。手術の影響で出遅れていた小笠原慎之介も後半戦で結果を残し、8月28日からは3連勝でシーズンを終えた。
その他、ドラフト2位の新人梅津晃大が終盤にはローテーションへと定着。山本拓実や清水達也、藤嶋健人といった高卒の若手たちも頭角を表し、来シーズンの去就は不透明だがライデル・マルティネスとジョエリー・ロドリゲスの両外国人投手もセットアッパーとして貢献し、なくてはならない存在となった。
来シーズン以降も希望の持てる内容の投手陣だが、そんななか苦しんだのは松坂大輔。昨シーズンは6勝を挙げて復活し、カムバック賞も賞した。しかし、今シーズン、一軍での登板は2試合に留まり、未勝利に終わった。春季キャンプ中にファンとの接触で故障するアクシデントがあったにせよ、この成績は少し寂しい。
岩瀬はカムバック賞受賞翌年も戦力に
過去にカムバック賞を受賞し、翌年も同等の成績を残している選手はどれほどいるのか。楽天が球界に参入した2005年以降を参考に振り返る。
2017年にカムバック賞を受賞した岩瀬仁紀(中日)。
入団から大きな故障もなく投げ続けたが、2014年終盤戦で離脱してからは苦しむことに。この年、プロ入り以来続いていた連続50試合以上の登板が15年で途切れると、翌年も状態は上がらず登板なし。2016年に復帰するも15試合の登板で0勝2敗、0セーブ、2ホールド、防御率6.10と岩瀬らしからぬ成績だった。
しかし、2017年に復活を遂げる。かつてのようなクローザーではないが、主にセットアッパーとして50試合に登板。3勝6敗2セーブ、26ホールド、防御率4.79と輝きを取り戻し、カムバック賞を受賞した。
結果的に現役最終年度となる翌2018年も48試合に登板。通算1002試合登板、407セーブというNPB記録をつくり、ユニフォームを脱いだ。岩瀬はカムバックした後も結果を残していた。
大竹寛、平野恵一は複数年に渡って活躍
大竹寛(当時広島/現巨人)も2年連続で結果を残したひとり。2010年、11年と故障により2年連続で1勝に終わったが、2012年に11勝5敗と完全復活し同賞を受賞。その翌年も2ケタ勝利を挙げる活躍をみせ、FA移籍した。
野手では平野恵一(阪神)が複数年連続で結果を残している。オリックス時代の2006年に試合中のアクシデントで重症を負い、33試合の出場にとどまると、翌2007年は成績が低迷。そのオフにはトレードで阪神へ移籍し、移籍初年度となった2008年には復活。115試合に出場し規定打席にも到達、見事にカムバック賞を受賞した。この年から5年連続で規定打席到達を果たし、戦力として欠かせない存在となった。
一方で館山昌平(ヤクルト)は2015年に復活して以降、現役引退まで結果を残すことができなかった。まさに自身の復活と優勝を引き換えにしたかのようだ。
館山は受賞後に苦しんだが、岩瀬、大竹、平野の3人は、カムバックした翌年以降も結果を残していた。松坂は受賞翌年こそ低迷したが、もう一度復活を果たすことができるだろうか。

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