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「泥臭さが好きなんだ」ファンが称賛する西武・木村文紀 全力プレーがCS突破の鍵となる

2019 9/30 17:00浜田哲男
木村文紀ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

打撃面が課題も、要所で活躍

圧倒的な打撃力で2年連続のリーグ優勝を果たした西武。秋山翔吾、森友哉、中村剛也、外崎修汰、山川穂高らスター選手がオーダーに並ぶ中、派手さはないものの要所で活躍し、優勝に貢献したのが木村文紀だ。

2012年シーズンの途中に投手から野手に転向し、これまでに規定打席に到達していなかった木村。今季は惜しくも、わずか2打席届かず初の規定打席到達とはならなかったが、主に右翼を守り、強肩を生かした右翼からの矢のような返球は、相手の走塁の抑止力にもなった。打撃は確実性に欠けるが、時に勝負強さを見せてチームの窮地を救う場面もあり、走塁でも貢献した。

4月20日、それまで0勝4敗と白星のなかったソフトバンク戦で初勝利の立役者となったのが木村だった。0-1と1点ビハインドで迎えた2回、満塁の好機で木村は走者一掃のタイムリーとなる三塁打を放ち逆転に成功。この一打をきっかけに一挙に5点を奪い試合の主導権を握った。木村の前の打者、中村が三振となり2死となった時点で流れが悪くなっていたが、木村の一振りが口火を切るきっかけとなったのだ。

走守には優れているが、今季の打率は.220、得点圏打率は.140と低く、打撃面で課題が多い。それでも、時に印象的な一打を放つ木村に対して、「木村は打率こそ上がらなかったけど、大事なとこでホームランとかタイムリー打ってくれた」「数字は残せてないけど、何かあるんじゃないかっていつも期待してしまう。そんな魅力のある選手だ」「打撃はもう少し粘り強さが欲しいが、意外性のある打撃で試合を決める一撃があった」といった声がSNS上には寄せられている。

出塁率向上は喫緊の課題

今季は自身最多タイとなる16個の盗塁を決め、12球団随一とも言える機動力野球の一翼を担った木村。15個の犠打も決めるなど、強力打線の潤滑油的な役割も果たした。しかし、前述した通りに打撃面で諸々の課題がある。

441回打席に立っていながら打率.220は寂しいし、三振も101個と多め。ど真ん中を見逃し、難しいボール球に手を出して三振するシーンが幾度となく見られた。何よりも、出塁率.270は早急に改善しなければいけない。四球数が24個と少ないこともあり、今後はいかに球を見極めることができるかがポイントになる。木村の出塁率が向上すれば、西武打線はますます手がつけられなくなる。

打球方向別の打率に目を向けると、レフト方向への打率が.182と低い(昨季は.196)。一方でセンター方向は.259(昨季は.324)、ライト方向は.259(昨季は.333)と数字が上がる。また、球種別の打率をみてみると、カットボールやカーブはともに.300の打率を残しているのに対し、直球の打率が.212と低い。シーズンで101個の三振をしているが、そのうちの44個が直球で奪われたものだ。直球への対応力を向上させ、振り負けずにレフト方向へ力強い打球を飛ばせるようになれれば、打率も自ずと上向いていくはずだ。

泥臭いプレーに称賛の声

派手さはないものの、ここ一番での一打とピンチでの好守でチームを救ってきた木村。中軸が凡退した後に必死に球に食らいつき走者を返したり、フェンスぎりぎりの大飛球をあきらめずに好捕するといったシーンが幾度となく見られた。打撃面で奮起を促されることも多いが、SNS上にはファンからの以下のような声が見られる。

「叩かれることも多かったけど、欠かせない選手だと思う。今日もナイスプレー!」「好機での一打と窮地での好守で延命し続けた。この泥臭さこそが彼を憎みきれない最大の理由」「意外性あるし、いつも全力プレーしてくれる泥臭さが好きなんだよな」「継続して活躍してたかと言われれば厳しいけど、チームの勢いが落ちてきたときに放たれる一撃は今シーズン何よりも重かったと思う」など、木村の泥臭く必死なプレーに称賛の声を寄せている。

これからクライマックスシリーズ(CS)を迎える西武。昨季はリーグ優勝しながらもCSを勝ち抜けず悔しい終戦となった。1点の重みが増すCS、そしてその先の日本シリーズにおいて、常に全力でプレーする木村が何かを起こすかもしれない。