阪神・藤川球児がNPB通算防御率1点台に突入
9月も下旬に入り、各チームで引退試合やセレモニーが催されている。
福浦和也(ロッテ)、畠山和洋、館山昌平、三輪正義(いずれもヤクルト)、永川勝浩(広島)、實松一成(日本ハム)などだ。その他にも寺原隼人(ヤクルト)やランディ・メッセンジャー、横田慎太郎(ともに阪神)、そして阿部慎之助(巨人)といった選手たちも現役引退を表明した。
あたりまえのことではあるが、年齢が高くなればなるほど、現役でプレーする選手は減っていく。それは一時代を築いた「松坂世代」(1980年4月2日〜1981年4月1日生まれ)でも例外ではない。前述の通り館山、永川、實松が現役引退を表明したことで、NPBでプレーしている選手は残り5人となった。
松坂大輔(中日)、渡辺直人、久保裕也(いずれも楽天)、和田毅(ソフトバンク)、そして藤川球児(阪神)である。
なかでも藤川の活躍が目覚ましい。今シーズン途中から守護神に抜擢されると、安定した投球を披露。NPB通算での防御率も1点台に突入した。NPBでは小数点第3位を四捨五入するため2.00と表記されているが、9月25日終了時点で「1.995」なのだ。
中継ぎ投手ということもあり、一般的には先発投手よりも防御率はよくなる傾向が強い。しかし1点台は歴代の投手を見てもハードルはかなり高い。
407セーブをマークした岩瀬の防御率は2.31
藤川はここまでNPBで764試合に登板し240セーブをマークしている。この数字は歴代4位に相当し、来シーズン中にも名球会入りの条件である250セーブに到達する勢いだ。
さて、そのセーブ数ランキングの上位に名を連ねる守護神たちは、どのような防御率を記録したのだろうか。セーブ数歴代5位までの防御率は下記のようになっている。
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歴代1位の407セーブというアンタッチャブルレコードを樹立した岩瀬仁紀(中日)は、1002試合(985回)の登板で防御率2.31。十分に誇れる数字ではあるが、1点台には及ばなかった。
ヤクルトの次期監督候補として名前があがっている高津臣吾は598試合(761.1回)で防御率3.20。大魔神こと佐々木主浩も439試合(627.2回)で防御率2.41と1点台には届かず。
歴代5位のサファテは現役で防御率1.57という数字を残しているが、427試合(435.1回)と投球回は藤川の半分以下となっている。
もちろん、セーブ数と違い防御率は1試合ごとに変動する数字である。悪化も当然あり得る。いつの日か訪れる現役引退の時まで、藤川がこの数字を保てるかどうかはわからないが、それでも素晴らしい成績なのは間違いない。
防御率ランキングには載らずとも…
これだけ素晴らしい成績を残している藤川の記録が、NPB通算防御率のランキングに載ることはない。現在、通算防御率は2000投球回以上の選手が対象となっているからだ。
藤川が今から1000回以上を投げるのは現実的に不可能だ。そのため、通算防御率の部門では、これからもランキングに載ることはないだろう。しかし、その残してきた数字は色褪せない。
残り10に迫ったNPB通算250セーブが注目されるが、驚異的な通算防御率にも目を向けていきたい。
<今シーズン成績>
藤川球児(阪神)
54試合/4勝1敗15S23H/54回/奪三振79/与四球32/防御率1.33
※数字は2019年9月25日終了時点