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西武連覇!浅村、菊池が抜けても、防御率最下位でも優勝できた理由

2019 9/24 21:58SPAIA編集部
リーグ連覇に大きく貢献した森と外崎ⒸSPAIA
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山川43号、序盤から猛打炸裂

西武・辻発彦監督の体が宙を舞う。ソフトバンクと稀に見るデッドヒートの末、ついにつかんだ2年連続の栄冠。苦しんだ分だけ喜びもひとしおだ。

9月24日、マジック2で臨んだロッテ戦。2回に栗山巧の先制タイムリーなどで一気に5点を奪うと、3回には山川の43号2ランで加点するなど大量リードを守り切った。2位・ソフトバンクが先に楽天に敗れていたため、リーグ優勝が決まった。

パ・リーグ優勝チームⒸSPAIA

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チーム防御率は昨年より低下

リーグ優勝したもののクライマックスシリーズで敗れ、日本シリーズ進出を逃した昨季。オフには長年、西武打線を牽引してきた浅村栄斗が楽天に、炭谷銀仁朗が巨人にFA移籍し、左腕エース・菊池雄星はポスティングシステムでマリナーズに移籍した。

投打の柱が流出する緊急事態。チーム防御率がリーグ最下位の4.24と悪かったにもかかわらず、高い得点力でカバーして優勝したことを考えると、指揮官に相当な重圧がかかっていたことは想像に難くない。実際、今季の前評判は決して高くなかった。

シーズンが開幕しても、昨年16勝で最多勝に輝いた多和田の調子が上がらず、今季ここまでわずか1勝。新外国人のニールがこの日の試合前まで11勝1敗と気を吐いているが、チーム防御率は昨年以下の4.35で、2年連続リーグワーストだ。

防御率がリーグ最下位で優勝したのは、昨年の西武以前では2001年の近鉄までさかのぼる。防御率4点台、2桁勝利は2人だけと今季の西武と共通点は多い。

西武投手陣ⒸSPAIA

近鉄投手陣ⒸSPAIA

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近鉄が優勝したのは言うまでもなく「いてまえ打線」の破壊力。3番・ローズが55本塁打、131打点、4番・中村紀洋は46本塁打、132打点、5番・礒部公一は17本塁打、95打点をマークし、チーム本塁打は211本を数えた。

大きかった森の覚醒と外崎の躍進

今季の西武も同様だ。山川穂高はこの日の試合前まで42本塁打、118打点、中村剛也は30本塁打、123打点と実力をフルに発揮。さらに嬉しい誤算だったのは森友哉の覚醒だ。

今季は開幕から捕手として出場を続け、打率トップを快走中。23本塁打、105打点をマークしており、主要3部門でキャリアハイを更新する活躍を見せている。

さらに外崎修汰の躍進も見逃せない。浅村の抜けたセカンドで堅実な守備を見せ、打っても26本塁打、90打点。実家が青森のりんご農家のため「アップルパンチ」の愛称で話題を集めた。

森と外崎ⒸSPAIA

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今季のチーム本塁打数こそソフトバンクに及ばない172本だが、得点は2位のロッテを100点以上引き離す743点。チーム打率.266ももちろんトップだ。

昨年CSで敗れた屈辱は忘れない

猛打でつかんだパ・リーグの頂点。しかし、今年はまだ気を緩める訳にはいかない。昨年、クライマックスシリーズでソフトバンクに敗れて日本シリーズ進出を逃し、辻監督はセレモニーで涙を流した。

あの時の悔しさは誰も忘れていない。「日本一」への渇望という点では、12球団一ではないだろうか。絶対に諦めない執念で、ゴール前、ソフトバンクとの叩き合いを制した。リーグ優勝の喜びに浸るのは一夜限り。辻西武の戦いはまだ終わらない。

※成績は9月23日終了時点