2016年の中田翔が“1位”
今季のヤクルト・村上宗隆の活躍で、低打率での本塁打王、打点王というキーワードに注目が集まっている。現在、村上は本塁打、打点ともにキングを狙える位置につけており、シーズンが終盤になるほど、注目が集まるだろう。
さらに村上はNPBの歴代1位となる記録達成の可能性がある。それは「最も打率の低い打点王」だ。1950年以降では、2016年に110打点で打点王となった日本ハム・中田翔が残した打率.250がワーストとなる(このシーズンは142安打、25本塁打で得点圏打率は.264)。
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今季の村上は9月11日現在で110安打、33本塁打、92打点で、打率は.231、得点圏打率は.266なので、安打数の少なさを本塁打で補ったような形になっていることがわかる。
最低打率本塁打王はランス
本塁打に目を移すと、村上がタイトルを獲得できたとしても、最低打率のキングは難しい現実が見えてくる。2リーグ分立した1950年以降の本塁打王では、1987年の広島・ランスの打率.218(39本塁打)が最低。低打率を目指しているわけではないので表現としてはおかしくなるが、ハードルはかなり高い。
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最低打率二冠王はブライアント
さらに、本塁打、打点の二冠王の最低打率を調べてみると近鉄の最強助っ人、1993年のラルフ・ブライアントの.252(42本塁打、107打点、得点圏打率.243)という数字が浮かんでくる。しかも、この年は歴代最多のシーズン204三振も喫している。
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DeNA・ソト(39本塁打、97打点)を6本塁打、5打点差で追う村上が、残り試合の成績次第ではブライアントの実績を更新する可能性もある。
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打率.279で147打点挙げた今岡
2005年には阪神の5番打者として今岡誠(現・真訪ロッテ2軍監督)が156安打、打率.279ながら、得点圏打率.371で歴代3位の147打点という驚異的な数字を叩き出してタイトルを獲得した。
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これがいかに驚異的なのか証明するために、歴代打点王と比較してみよう。1985年、歴代4位タイの146打点を挙げたロッテ・落合博満は、打率.367、52本塁打で三冠王。得点圏打率はプロ野球史上最高の.492をマークした。
99年に歴代2位の153打点を記録した横浜のロバート・ローズは打率.369で得点圏打率は.394だった。
他にも歴代1位の小鶴誠や4位タイの藤村富美男、144打点で歴代6位のタイロン・ウッズらも軒並み打率3割以上のハイアベレージを残している。この事実とともに、最も効率よく打点を稼いだ今岡の言葉を紹介したい。
「何本打つかよりいつ打つかが大事」
「レギュラーで試合に出ている選手の安打数は打席数から逆算すればだいたい計算できる。これまでのプロ野球の歴史を見てもそう。1シーズンに120本から170本の間でしょう。だから、何本打つかよりいつ打つかが大事なんですよ。それは意識しましたよ」
チャンスで打とうと意識するのではない。打たなくていいい場面は無理に打たなくていい。大差で勝っているゲームの終盤、二死無走者で打席が回れば本塁打だけを狙えばいい。つまり考え方をシンプルにする。今岡の発言の真意を理解できれば、村上の最低打率の打点王、二冠王が現実になるのかもしれない。
※成績は9月11日現在