「世界の王」上回る今季4本目
西武の中村剛也が9月6日の楽天戦(楽天生命パーク)で、1点を追う3回2死満塁から自身の持つ日本最多記録を更新する通算20本目の28号逆転満塁弾を放った。4日のオリックス戦(神戸)で19本目を放ったばかりの「満塁男」。2連覇へ向けソフトバンクとのデッドヒートを繰り広げているとあって、価値あるグランドスラムとなった。
通算満塁本塁打記録といえば長年、王貞治の15本という数字を抜く選手が現れなかった。2015年にようやく中村剛也が通算16本目を放ち、頭一つリード。そして今季は4本目の満塁弾となり、1950年に中日・西沢道夫が記録した年間5本の最多記録さえ視界にとらえた。中村の通算20本に近づける選手は当分出てこないだろう。
密かにこだわっていた中村紀洋
実は通算満塁本塁打の数に密かにこだわりを持っていたのが、近鉄などで活躍した中村紀洋だ。歴代3位タイの14本を記録しているのだが、DeNAでプレーした2013年頃にはこう話していた。
「なんとかあと一本、満塁ホームランを打ちたいんですよ。僕は通算404本塁打。王さんは868本も打たれている。そこは全く及ばないけど、満塁ホームランが15本で並ぶことができたら、自分の中で誇りに思えるかなと思って」
ⒸSPAIA
中村紀洋の夢は叶わなかった。それでも満塁本塁打の割合でいえば王貞治の57.9本に1本を大きく上回る28.9本に1本。誇りを持っていい数字と言えるだろう。
他の打者の打力などの兼ね合いもあるため、一概にはいえないが中村剛也の場合は20.7本に1本。現役時代から「満塁男」の異名を取った元巨人、横浜の駒田徳広は15本に1本の高確率だった。
現役2位は阿部慎之助の10本
現役で中村剛也に続くのは巨人・阿部慎之助の通算10本。それでも、すでに40歳であることを考えれば今後、大きく数字を伸ばすことは考えにくい。続くのは通算7本の楽天・浅村栄斗か。それとも通算6本の巨人・坂本勇人、9月4日の広島戦(神宮)で200号となるサヨナラ満塁弾(これが通算6本目の満塁弾)を放った27歳のヤクルト・山田哲人になるのか。
それにしても中村剛也の通算20本の満塁弾は次元が違う。西武には秋山、栗山、森友哉、外崎、山川ら好打者が並んでおり、対戦バッテリーからすれば中村との勝負を避けられない事情もあるのだろう。36歳という年齢から考えても、まだ上積みがあると言える。今後も走者をためての中村の打席に注目だ。
※成績は9月9日現在