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中日・小笠原396日ぶり白星 梅津、山本ら若手台頭で“強竜”復活近い?

2019 8/30 06:00勝田聡
イメージ画像ⒸEvgenii Matrosov/Shutterstock.com
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ⒸEvgenii Matrosov/Shutterstock.com

左肘手術乗り越え、復帰3戦目

中日の小笠原慎之介が、8月28日に行われた阪神戦(甲子園)で7回途中無失点の好投を見せ、今シーズン初勝利をマークした。ケガを乗り越え、実に396日ぶりの白星となった。

昨シーズンオフに左肘手術を受けた影響もあり、今シーズンは大きく出遅れた。開幕から4ケ月以上経った8月10日の一軍初登板から3試合目での今季初白星。チームは残り30試合を切っているが、出遅れた分を取り戻すような投球に期待がかかる。

ここまで5位に低迷している中日だが、小笠原以外にも若い投手たちが充実しつつある。

ドラフト2位のルーキー梅津晃大も小笠原同様、故障によりシーズン開幕には間に合わなかった。しかし、ファームで調整を続け、8月12日の一軍デビューから2連勝。新人投手による2戦2勝は1987年の近藤真一以来、実に32年ぶりだ。早くも先発ローテーションの一角に定着しつつある。

高卒2年目の山本拓実が先発ローテ名乗り

先発投手陣は小笠原や梅津の他にも有望株が多い。高卒2年目の山本拓実もそのひとりだ。市西宮高時代に甲子園への出場経験はなく、ドラフトも下位指名の6位。1年目の昨シーズンは1試合のみの登板に終わった。

ところが、今シーズンは既に5試合に登板。全て先発として起用され2勝3敗、防御率3.95とまずまずの数字を残している。167センチと小柄な体格も影響しているのか、変化球主体の投球で凡打の山を築くスタイルが売り。現在は登録を抹消されているが、来シーズン以降のローテーション候補に名乗りをあげたと言っていいだろう。

また、山本と同学年の清水達也も先発で2勝をマーク。その他、ドラフト3位ルーキーの勝野昌慶や、今シーズンの開幕投手をつとめた笠原祥太郎もいる。こういった投手たちが大野雄大や、今シーズンブレイクした柳裕也とローテーションを争うようになれば、先発陣はますます充実してくるだろう。

藤嶋健人が20試合連続無失点の圧巻投球

藤嶋健人も圧巻の投球を続けている。今シーズンのキャンプイン直前に血行障害で突然の戦線離脱。一軍に復帰したのは7月に入ってからだった。そこから20試合に登板し、0勝0敗8ホールド、19.1回を投げ、無失点を継続中だ。ホールド数から僅差での登板が多いことも分かる。それだけ与田剛監督の信頼も厚いということだろう。

他にも、血行障害からの復活を目指す鈴木翔太や、右肘手術を受けた石川翔が控えている。そのため、藤嶋が来シーズン以降も中継ぎとして起用されるのか、それとも先発に配置転換されるのか、現時点では定かでないが、どのような起用法でも戦力となることは間違いない。

これまでチームを支えてきた吉見一起や山井大介、松坂大輔はベテランの域に達している。中6日で1年間回すことを求めるのは酷というものだ。

いつまでもベテランに頼らず、大野や柳、中継ぎでは岡田俊哉といった、軸になる選手のまわりを、若手やベテラン、外国人選手らで補っていくのが理想の形だろう。芽吹き始めた新世代投手たちの躍進が「昇竜」復活に繋がるはずだ。

※数字は2019年8月28日終了時点