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坂本勇人は巨人史上初の生え抜き右打者の40本塁打に届くか

2019 8/21 06:00勝田聡
笑顔でバットを持つ坂本勇人ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

坂本勇人が未知の領域へ

巨人の坂本勇人が順調に本塁打を積み重ねている。8月19日終了時点ですでに2010年に記録した自己最多の31本塁打を更新する32本塁打を記録。これはリーグトップの数字であり、自身初の本塁打王も十分に狙える本数でもある。

もちろん本塁打が増えたからといって、打率が極端に落ちているわけではない。

現時点で打率.311(441-137)となっており、昨シーズンの打率.345(441-152)と比べると若干下がっているものの3割をキープ。アベレージを残しつつ、本塁打を伸ばすことに成功したわけだ。

それだけではない。このままのペースで推移すれば143試合換算で41.6本。40本塁打の大台も視野に入ってくる。

巨人の歴史を振り返ると、この40本塁打が意外にむずかしい。王貞治や松井秀喜といった左打者はクリアしているものの、「生え抜きの右打者」において大台超えはひとりもないのである。

小久保裕紀が初の大台突破

巨人の右打者で代表的な選手といえば、やはり長嶋茂雄だろう。NPB通算444本塁打は歴代14位。巨人での本塁打に限定すると868本の王貞治についで歴代2位。もはや説明不要のミスタープロ野球である。
しかし、これだけの本塁打を放っていながら、40本に到達したことは一度もない。17年間の現役生活において本塁打王の獲得は2度(1958年・1961年)。さらに5度の30本超えはあったが、最高は39本(1968年)にとどまっている。わずかにあと1本だけ大台に届かなかったのだ。

現在、巨人の監督を務めている原辰徳も現役時代は右の大砲だった。15年間で積み上げた本塁打は382本。30本塁打超えは長嶋を超えて6度もあるが、シーズン最多は36本(1986年)が最高。原も長嶋同様に40本の大台には手が届かなかったのである。

生え抜きに限定しなければ、右打者でも40本塁打に到達した選手はいる。2017年のWBCで日本代表監督を務めた小久保裕紀である。
小久保は2003年オフにダイエーから無償トレードで巨人に移籍。前年は故障により全休だったがその心配を他所に、それまで未知の領域だった右打者による40本塁打を超える41本塁打を記録した。

これが巨人において唯一の、日本人選手による右打者の40本超えである。清原和博、江藤智、落合博満、広澤克実と多くの右の長距離砲が籍をおいた巨人だが、日本人選手による大台超えは小久保だけなのである。

ラミレスが唯一の複数回達成者

日本人に限定しなければ現在DeNAの監督を務めるアレックス・ラミレスも40本を超えた。ヤクルトから移籍した2008年に45本、その2年後の2010年には49本。巨人の右打者において唯一、複数回に渡って40本塁打に到達した選手でもある。

多くの助っ人外国人や国内の長距離砲を集めてきた巨人だが、右打者による40本塁打は大きな壁となっているのである。果たして坂本は、チームの生え抜きとして初めてこの大台を突破することができるだろうか。

球団の歴史に坂本の名前が刻まれる瞬間を楽しみに待ちたい。

<今シーズン成績>
坂本勇人(巨人)
110試合/打率.311(441打数137安打)/32本塁打/80打点

※数字は2019年8月19日終了時点