首位巨人から3位広島まで6.5ゲーム差
昨シーズンの2位から一転、今シーズン最下位と苦しんでいるヤクルトが調子を上げてきた。8月12日から行われたDeNAとの3連戦で3連勝。まだ最下位脱出とまではいかないが、勢いはついてきた。一方、首位の巨人を追いかけ、広島と熾烈な2位争い真っ只中のDeNAにとっては痛い3連敗となった。
セ・リーグの順位表を見ると8月18日終了時点で首位の巨人と2位のDeNAが5ゲーム差。2位のDeNAと3位の広島が1.5ゲーム差、4位の阪神は広島と5ゲーム離れており、クライマックスシリーズへの出場権を得られる3位以内は、阪神までの上位4チームで争うことになりそうだ。数字上では、5位の中日と6位のヤクルトにもチャンスはあるが、現実的には難しいだろう。
阪神までの上位4チームにとっては残された約30試合の戦い方がこれまで以上に重要だが、気になるのは各チームの今後の日程である。上位チーム同士の直接対決が多いのか、下位に沈む中日やヤクルトとの試合が多いのかによって、戦い方が変わってくるからだ。
最下位ヤクルト戦を多く残すのは?
上位4チームは、中日やヤクルトといった下位チームからの取りこぼしをいかに少なくするかが重要となる。特に最下位のヤクルトに負けることは避けたいところだろう。裏を返せば、ヤクルトがペントレースの鍵を握っているとも考えられる。
そんなヤクルトの対戦チーム別の残り試合数を確認してみる。
【ヤクルト・対戦チーム別残り試合数(8月20日以降)】
巨人:5試合(8勝12敗)
広島:8試合(8勝9敗)
DeNA:4試合(10勝11敗)
阪神:8試合(5勝10敗2分)
中日:5試合(9勝11敗)
※()内はヤクルトから見た勝敗
このように残り試合数が5試合の巨人、4試合のDeNAに対して、広島と阪神は8試合。一見すると残り試合が多い広島と阪神が有利のように思えるが、そうとも言い切れない。むしろ、ヤクルト戦を多く残しているチームの首脳陣は不気味に感じているはずだ。
ここで思い出すのが2011年シーズン。首位を快走していたのはヤクルトだったのだが、最終的に中日が逆転優勝。クライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズにまで駒を進めた。当時の中日監督は2004年に就任した落合博満。2010年までの7シーズンで優勝3度、2位が3度、3位が1度と全てAクラス、2011年は落合政権最後の年でもあった。
後にこの劇的な逆転優勝を振り返った際、落合監督は「(最下位の)横浜とやるのが一番嫌だった」と語っている。それは、優勝(順位)争いから離脱しているチームが相手の場合、「絶対に落とせないから」である。だが、そこはプロの世界である以上、実力差が大きく離れているわけではないため、勝つことは容易ではない。そんなことから、直接対決ではなく絶対に落とせない横浜戦がなくてよかったということを語っていたのだ。
今季は16連敗を喫して以降、最下位から浮上するきっかけがつかめずにいるヤクルトだが、昨季2位の実力は侮れない。佳境を迎えているペナントレース、CSや優勝を目指す上位陣にとっては、ヤクルトが最も嫌な対戦相手なのかもしれない。
※数字は2019年8月18日終了時点