同情を禁じ得ないオリックスの“最多被死球”
第101回全国高校野球選手権大会の2回戦で花咲徳栄の菅原謙伸が左腕に投球を受けた際に「すみません」と謝り、死球ではないことを自己申告したことが、フェアプレーの鑑であると話題になった。
1点を追う場面で、勝利に固執することなく、埼玉県の代表として全国に来ているのだから正々堂々としなければならない、という気概がとっさに言動に表れるとは尊敬の念を抱かざるをえない。
実際、百数十キロの硬式球が当たれば、痛みどころか打ち身や骨折、当たり所によっては重大な事故につながる可能性すらある。そのため、プロの試合でも死球が出ると緊張感が走る。特に1試合で複数の死球が出ると険悪な空気が漂い始め、ついには乱闘騒ぎに発生することも。
それが1試合でなくシーズン中に大量の死球を受けていればなおのことだ。

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8月13日の、メットライフドームで行われた西武-オリックス戦の4回2死満塁の場面で乱闘が発生した。オリックスの若月健矢が西武の森脇亮介からの死球を受けたことがきっかけだったのだが、この日すでにオリックスは2つの死球を受けており若月が受けた死球は3つ目。しかもその時点で今シーズン19試合で17死球も受けていたのだ(試合終了後には18死球)。
昨季に続き今季の西武も12球団最多の与死球でその数は77。次に多いソフトバンクの50の1.5倍だ。その一方で受けた死球は39なのだから対戦する球団からすればたまったものではない。その中でもオリックスの受けた死球は20と15日終了時点でも最多だ。
腹に据えかねたのだろう、13日の試合ではオリックスの佐竹学コーチが森脇を両手で突き飛ばしてしまい退場処分になり、その後厳重注意と制裁金15万円を課せられた。スポーツマンシップ的にも倫理的にも暴力行為は許されないが、これだけの死球を受けては同情を禁じ得ない。















