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楽天・茂木栄五郎 優れた「得点貢献能力」を備えた“切り込み隊長”

2019 8/2 06:00浜田哲男
茂木栄五郎ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

“超”がつくほどの積極性が魅力

現在リーグ4位につける楽天。とはいえ、首位のソフトバンクとのゲーム差はわずか4.5で、2013年以来6年ぶりのリーグ優勝の可能性も十分。この夏場をいかに乗り切るかがポイントだ。浅村栄斗やブラッシュなど今季からの新戦力ががっちりと主軸を担っていることも大きいが、最も大きな鍵を握っていると言っても過言ではないのが、不動の切り込み隊長・茂木栄五郎の存在だ。

開幕当初は2番遊撃だったが、昨季ブレイクした田中和基の不振を受け4月上旬から1番に入ると、以降は打線の火付け役として機能している。打率はリーグ6位の.305、安打数はリーグ2位の116本(トップの西武・秋山翔吾が117本)、出塁率はリーグ6位の.385とチャンスメイカーとしての役割を十分に果たすほか、得点圏打率はリーグ4位の.347とポイントゲッターとしても機能。プロ入り当初から変わらない思い切りの良さも、切り込み隊長と呼ぶに相応しいイメージの形成に一役買っている。

7月19日のソフトバンク戦では序盤から投手戦の様相を呈していた。だが、中盤に茂木が先制のソロ本塁打を放って均衡を破ると、この一打をきっかけに打線がつながり一挙に4点を奪い、快投を見せていた美馬学を援護した。20日のソフトバンク戦の終盤には、遊撃正面へ放った打球がイレギュラーして相手のミスを誘うと、積極果敢な走塁で一気に二塁を陥れ決勝点の起点となり、平石洋介監督に「栄五郎の走塁が大きかった」と言わしめた。

2017年には、初回先頭打者初球本塁打3本というパ・リーグのシーズンタイ記録を達成。1番遊撃で出場した同年のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦では、第1打席でCS史上3人目となる初球先頭打者本塁打もマーク。さらには、ソフトバンクとのファイナルステージ第1戦でも先頭打者本塁打を放っている。大事な試合、膠着した状況を走攻で打開する、“超”がつくほどの積極性が茂木の大きな魅力だ。

優れた得点貢献能力

セイバーメトリクスで、その打者がどれだか得点を生み出したのかを測ることのできる指標にRC(Runs Created)というものがある。RCには、長打力や出塁能力に加え、犠飛や犠打、盗塁といったOPSにはない要素も加味されているため、より精度の高い得点貢献能力がわかる。

ただし、RCは打席が多いほど有利なため(打席数が多いほどRCを稼ぐ機会を得ていることになるため)、打席数に差がある選手を比較することには向かないが、長距離打者や中距離打者、走力に優れた打者など、タイプの違う選手を比較する際には便利な指標だ。

パ・リーグRCランキング

ⒸSPAIA


茂木のRC 68.9はリーグ4位。RCはチームの打者全員分の合計がチーム得点数となるため、現在の楽天のチーム得点数411のうち、約69点を茂木ひとりの力で生み出していることになる。茂木が様々な面からチームの得点に貢献していることがこの数字からわかる。

キャリアハイの成績で優勝へ

今季はここまで順調にきている茂木だが、昨季はシーズン序盤から低迷。夏場には死球の影響により登録を抹消されるなど、規定打席にも届かずに不完全燃焼でシーズンを終えた。

現在は最多安打を十分に狙える位置にいる上に、首位打者をも狙える位置につけている。プロ入り1年目と2年目に自己最多の118安打をマークしているが、既に今季は116安打。このまま怪我無く調子をキープできれば、様々な項目でキャリアハイの成績を残せるだろう。CS出場やリーグ優勝に向けて、不動の切り込み隊長・茂木の存在は欠かせない。

※数字は2019年7月30日終了時点