2016年ドラフト会議で話題になった「高校生ビッグ4」
7月30日、全国高校野球選手権大会(以下、夏の甲子園)の出場校が出揃った。
今秋のドラフト会議で注目を浴びている「高校生ビッグ4」からは奥川恭伸(星稜高校)が出場するものの、佐々木朗希(大船渡高校)、及川雅貴(横浜高校)、西純矢(創志学園高校)はそろって地方大会で敗退。最後の夏、甲子園の舞台に立つことはできなかった。
さて、毎年ドラフト会議の時期になると高校生や大学生を一括にし、「ビッグ3」、「ビッグ4」、「三羽ガラス」などと称される選手たちが存在する。
古くは山本浩二(元広島)、田淵幸一(元阪神他)、富田勝(元南海他)「法大三羽ガラス」が有名だ。山本は名球会入りを果たしており、田淵は強打の捕手としてミスタータイガースと称されることもある。3人のなかでは実績こそ劣るが、富田も1303試合に出場し1087安打を記録しているほどの選手である。
その他には2007年高校生ドラフトで話題を集めた中田翔(大阪桐蔭高校/日本ハム)、唐川侑己(成田高校/ロッテ)、佐藤由規(仙台育英高校/ヤクルト→楽天)の「高校生ビッグ3」。2011年ドラフト会議における菅野智之(東海大/巨人)、藤岡貴裕(東洋大/巨人)、野村祐輔(明治大/広島)の「大学生ビッグ3」が記憶に新しい。
各選手とも年齢を重ね若手から中堅となり、現在もチームを引っ張る存在として奮闘している。
現在プロ入り3年目となる2016年ドラフト会議でも同じように「高校生ビッグ4」が存在した。彼らは現在どのような状況なのだろうか。
今井達也はローテーションで今季6勝をマーク
2016年ドラフト会議。高校生で注目を集めたのは藤平尚真(横浜高校)、寺島成輝(履正社高校)、高橋昂也(花咲徳栄高校)、今井達也(作新学院高校)の4人だった。
夏の甲子園開幕前までは今井をのぞいた3人が、「高校生ビッグ3」として取り上げられていた。しかし、今井擁する作新学院高校が全国制覇を達成したことで、「高校生ビッグ4」と呼ばれるようになったのである。
ドラフト会議の結果、藤平が楽天、寺島がヤクルト、今井は西武にドラフト1位で、高橋は広島に2位でそれぞれ指名され入団する。
3年目を迎えた今シーズンまでに全員が一軍での登板は経験済み。しかし、一軍で戦力として結果を残しているのは今井ただひとりだけ。
今シーズンの今井は16試合の登板で6勝8敗、防御率4.15の成績を残し奮闘中。先発ローテーションの柱としては物足りなく映るが、まだ高卒3年目と考えれば上出来だろう。打ち込まれることも多いが、ローテーションを守り成長中といったところだろうか。
高橋昂也はトミー・ジョン手術のリハビリ中
楽天の藤平は1年目に3勝、2年目に4勝をマークし順調な成長曲線を描いていた。首脳陣も大きな期待をかけており、3年目の今シーズンは開幕3戦目の先発に抜擢されたほど。しかし、その試合において3回途中3失点でノックアウトされると、2試合目の登板でも2回1失点で降板。それ以降は一軍のマウンドに立っていないが、一軍ではなく、二軍で実戦を積んでいる。ファームでは13試合の登板で防御率2.88と結果を残しており、夏場に一軍昇格の機会はあるかも知れない。
これまでの2年間で2試合の登板に終わっていた寺島は、7月30日に今シーズン初めて一軍に昇格。先発ではなく中継ぎとして起用された。高校時代と役割は変わるが、なにがなんでも結果を残したいところ。4人のなかで唯一の未勝利でもあり、3年目となった今年こそ初勝利を手に入れたいところだったが、振るわなかった。
高橋は昨シーズン一軍デビューを果たし、初勝利もマークした。しかし、今年の2月にトミージョン手術を受けており、現在はリハビリに励んでいる。
「ビッグ4」と呼ばれドラフトを沸かせた存在でも、早い段階で結果を残すことが、いかに大変なのかがよくわかる。今秋も同じように騒がれる選手はいるだろう。しかし、すぐに結果を残すことができるのは、ほんの一握りの選手だけ。結果がなかなか出ないことは、決して珍しいことではないのである。
はたして4人は高校時代と同じようにプロの舞台でも、脚光を浴びる存在となるだろうか。これから先も見守っていきたい。
※数字は2019年7月30日終了時点