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阪神の新助っ人ソラーテは救世主か?MLB通算75発のマルチプレーヤー

2019 7/25 07:00カワサキ マサシ
阪神に加入したソラーテⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

MLBで5年連続2桁本塁打のスイッチヒッター

阪神が7月7日に新外国人選手ソラーテの獲得を発表し、同22日には入団会見が行われた。ソラーテ獲得の狙いが、リーグ最少の336得点にとどまる攻撃力の強化であることは、明らかだ。

阪神といえばバース、マートンら優良助っ人を獲得した実績がある一方で、シーズン開幕後に頻繁に外国人選手を取っ換え引っ換えしている印象を持つ人もいるかもしれない。だが実際は、野手に限れば別表の通り。決して毎年ではないが、ある特定の期間に集中している。特定の期間とはそう、チームの低迷期。現在も2005年を最後に長く優勝から遠ざかり、2015年以降はほぼ毎年のようにシーズン途中での外国人野手の獲得が続いている。これはチーム編成が上手く機能していないことを表しているようであり、ファンにとっては不気味な兆候だ。

阪神の途中入団外国人選手成績ⒸSPAIA

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あらためて振り返ると、阪神がシーズン途中で獲得した外国人野手の成績は惨憺たるものだ。この結果になってしまう理由のひとつは、彼らに与えられる時間の無さ。初めて来日するほとんどの外国人選手は、日米の野球の違いに慣れるまでにある程度の時間を必要とするもので、途中入団選手はその時間の猶予がない。

あのバースですら、来日1年目の1983年シーズン序盤は、外角の落ちる変化球に対応できずに苦戦した。しかし日本人投手の攻め方に慣れたシーズン後半からは快打を連発し、終盤には当時の球団記録である25試合連続安打をマーク。その後の活躍は、あらためて紹介する必要がないだろう。

過去の途中入団外国人野手ではトップクラスの実績

唯一「当たり」だったのは、'09年5月に獲得したブラゼルのみ。ブラゼルは前年に西武に在籍し、130試合出場で27本塁打を放った実績があった。それにも関わらず、シーズン終盤に受けた頭部死球の影響から解雇され、翌年に米独立リーグを経て阪神に入団した経緯がある。セとパの違いはあるが、ブラゼルは日本の野球を経験済みで、実績も残していたことが成功につながった。

ソラーテはこれが初来日で、ブラゼルの成功の法則には当てはまらない。だがMLBでの実績は、これまでに阪神にシーズン途中に入団した外国人選手のなかでもトップクラス。選手としての特徴は、技術とパワーを合わせ持つスイッチヒッターで、内野の全ポジションはおろか、外野も守れることだという。これが額面通りなら、究極のマルチプレーヤーだ。

しかし過去、関西のスポーツ紙が報じる新外国人の派手な触れ込みに何度も煮え湯を飲まされた阪神ファンは、期待と同時に不安も拭えないだろう。外国人選手は獲ってみないとわからないは定説で、そこにはある意味、くじ引きのようなニュアンスもある。ソラーテが前評判通りのプレーを見せてくれ、「当たり」であることを願うしかない。

ガルシア外して外国人枠は野手2・投手2?

現行ルールで、外国選手の1軍登録枠の上限は4人。その内訳は野手3・投手1、投手3・野手1、あるいは野手2・投手2に限られる。ソラーテ獲得以前の阪神の外国人選手枠は投手が先発のガルシア、中継ぎのジョンソン、抑えのドリスの3人、そして野手はマルテの編成。打線強化のためにソラーテを入れるのであれば、マルテは外したくない。では、だれを外すのか。先発スタッフはファームに1軍での実績がそれなりにある秋山拓巳、岩貞祐太らが控えているので、ガルシアを外すことが現実的だろう。

ポジションはマルテが一塁、ソラーテが外野か。しかし今季の阪神は投手力を軸に守り勝つべきチームであり、ガルシアを外すことが正解なのか。大事なところでミスが見受けられる守備面に、ソラーテが加わることで不安はないのか。また福留孝介が復帰してソラーテを外野で起用するなら、不動の糸井嘉男と合わせてポジションが埋まる。そうなると復調気配を見せる髙山俊をはじめ、若手・中堅野手の扱いをどうするのか。矢野燿大監督も頭を悩ませることだろう。 

過去の実績から振り返ると、阪神がシーズン途中に外国人選手を獲得するのは、失敗する確率のほうが高いと言わざるを得ない。ソラーテは負の歴史を打ち破って、虎の救世主となるのか。果たして……!?

※成績は2019年7月23日終了時点